インファンタからダバオへ! でも乗り物が無い?
金欠になった私は、カネを作る為、仕事を見つける為、ネットの電波を拾う為にダバオに向かおうと決心する。
フィリピンの求人を探すのに、ルソン島、セブ島では、少なからず求人があるけど、ダバオなんてなかなか目に入ってこないので、ダバオに仕事があるとは思っていない。
ただ、カネを得る方法や手段が見つかるまで、ネットの使える環境を求めただけだ。
マニラ周辺で、私をホームステイさせてくれる場所が見つからず、たまたま見つかったのがダバオということ。
さっそく、インファンタにあるローカルな旅行代理店に向かってみる。
日程の範囲を1週間くらいの中でダバオ行きのワンウェイチケットを探してもらうのだけど、マニラ発だろうと、クラーク発だろうと、どうやっても5,000ペソを超える。
どうやら4月と5月はハイシーズンで、安いチケットが出ないらしい。
ダバオのオンナからは、安いチケットもあるよという見本として、画像が送られてきていて、そのチケットの価格が1,300ペソほどだったので、どうにかなるだろうとタカを括っていた。
送られてきた画像を良く見ると、数年前の日付になっているし、プロモ的な料金かもしれないので、アテにならない画像だった。
資金的に余裕で予算オーバーの私はチケットを取る事が出来ず、いったん引き返す。
家で不安そうに待っていたイミテーションワイフに色々聞かれるが「高いからチケット買えなかった」と伝えると、ウヒョヒョと小躍りするイミテーションワイフ。
その姿を見てイラっとした私は、思いつきで宣言する。
わたし「あした、出発するから!」
小躍りしていたのをピタっとやめ、不安な顔で聞いてくるイミテーションワイフ。
ワイフ「チケット無いのに、どうやって…」
わたし「バスで行く!」
わたしは、基本的に計画的では無い。
計画したって、どうせその通りにはならない。
不測の事態に備えていても、その不測の事態に備えた計画も、現地に行けば話しが変わる。
ならば、何も計画せず、行きあったりバッタリで、臨機応変に対応した方が、無駄な時間が割かれずに済む。
だいたい、ネットもロクに使えないのに、どうやって調べれば良いのか分からない。
ネットで見つけられても、英語とタガログ語が混在する文章をトランスレートしている内に、時間が経過して話しが変わってしまう。
わたしは、インファンタを出たくて仕方がなかったのだと思う。
朝起きて、メシ食って、ウンコして、近所の人とトランプをして、それを日が暮れるまで続けて、メシ食って寝る。
こんな生活を10日も続ければ、飽きてくるし、カネが無いのに、ただ不安だけが募っていく。
イミテーションワイフは、ゴニョゴニョ言っていたが、突然だけど何の予定も無く翌日にダバオ行きの出発を決めた。
翌日、夜の10時にバスターミナルに向かうも、マニラ行きの出発は午前0時になるとのこと。
午前0時の出発は、道が混んでいないので、マニラに早朝に到着する。
わたしはオルティガスで下車。
時間は午前4:30。
とりあえずの目的地は、ダバオに直行するバスが出ているバクラランのバスターミナル。
わたしの思惑としては、早朝に到着しておけば、多少の待ち時間があっても、今日中には出発出来るだろうという漠然としたもの。
バスの料金も知らないけど、まぁ3000ペソもあれば足りるだろうと考えていた。
なんだけど、深夜と早朝の狭間とも言うべき時間帯のバスは、ハイジャックされたバスがパトカーから逃げてるんじゃないかと思う勢いでブッ飛ばす。
わたしはオルティガスからバスに乗ってエドサ通りを南下しバクラランに向かう予定だったのだけど、バスを止めれる自信がない。
仕方ない。歩くか。
まだMRTも動いていない時間なので、トボトボと歩いて進む。
オルティガスから隣のショーブルーバード、そしてその次のボニまで、ひたすらに歩く。
わたしは毎朝、ウンコをする。
家でない場所でのトイレ探しは、なかなか大変なミッションだ。
フィリピンのパブリックなトイレは、クサイとか汚いとかのレベルじゃない。
地獄の黙示録みたいなタイトルをつけても全然オーバーじゃないほどに恐怖を感じさせるエリアだ。
わたしはオルティガスから歩きながら、どこか用を足せる場所は無いかと探し歩いていたわけだ。
ボニの駅に辿り着く手前に、まぁまぁ大きなジョリビがあり、そこに入ってみる。
深夜から早朝に切り替わる時間で、深夜のシフトのスタッフが掃除をしているハズという、強い願望を込めた予測をしていた。
わたしのトイレの探し方が悪いのか、何故か男子や女子に別れていない多目的トイレしか見当たらないが、とりあえずそこに入ってみる。
おぅ、普通のトイレだ。
ガンタイプのウォシュレットまで付いている。
用を済ませ、ジョリビを後にしたら、MRTのボニ駅から電車に乗る。
目的地はバクララン。
MRTだとタフトアベニューという名前の駅だったと思う。
Philtranco と言う名前のバス会社のターミナルに、午前5:50に到着。
思ったよりも遅くなってしまったが、用を足すという一大イベントがあったので仕方がない。
さっそく、受付に向かう。
早朝だと言うのに長蛇の列だ。
30分ほど並んで、ようやく自分の順番がやってくる。
受付のお姉さんに「ダバオ」と一言だけ告げる。
受付のお姉さんは、左の方を指差した後に「ネクスト」と言って、30分も待って手に入れたわたしの順番を終了させてしまう。
なろぅ、意味が分からんまま引き下がれるかと、受付のお姉さんに「ダバオ」ともう一回言う。
また、お姉さんは、左の方を指差して「ネクスト」と言う。
壊れたロボットみたいだ。
わたしの斜め横からズル込みを狙う男が、アレを見ろという感じで張り紙を指差す。
張り紙を見てみる。
ダバオは、5/13 onwardsと書いてある。
なんだ? onwardsって?
オンワード樫山なら聞いた事あるけど、と思いながら携帯でトランスレートする。
「onward」最難関大レベル、英検だと準1級以上、TOEICで730点以上を目指す人が覚えておく単語か…。
じゃぁ、オレが分かる訳ないなぁ。
フィリピン人分かるんかなぁ? などと思いながら意味を調べると、5/13以降しか予約が取れないという意味らしい。
なるほど、んで、今は5月5日なのだが、1週間以上予約取れないのか…
んで、オレは一体どうすれば?
そんな問いを問いかける相手もいないし、わたし自身答えを持っていない。
だいたい、考えて出る答えでも無い。
無いモノは無いのだ。
ネットで船などを探してみるも、こちらも早くて5月15日のチケットしか取れないらしい。
どうして良いか分からないので、プロに相談する事を思いつく。
たしか、ヒルプヤットの駅近くに、ねもととか言う名前の旅行代理店があったなぁ。
わたしはスーツケースを転がしながら、バクラランからヒルプヤットまで歩く。
わたしは誰よりもマニラのあちこちを歩いている自信がある。
わたしの徒歩圏内は、時間にして3時間。
約10キロほどを徒歩圏内と考えている。
ジープの料金だと20〜30ペソ。
タクシーだと200〜300ペソ。
これが歩いたら無料になってしまうなんて素晴らしい。
タイムイズマネーとは言うけど、わたしの時間には価値がない。
どーせ、朝の6時に旅行代理店に行ったところで開いてる訳がない。
ノンキに町を見ながら歩いた方が、よっぽど有意義だ。
途中、人気の無いところで、タバコだって吸えてしまう。
と思ったら、隣がパサイのシティホールで、周りにゴロゴロと警官がタンバイして冷や汗をかいたりする。
午前7時前に、ねもとトラベルに到着するも、やはりまだオープンしていない。
近くのコンビニでドーナツとコーヒーを買い朝食を食べながら、携帯をいじくり作戦を立てる。
ただ、ネットで探すと、飛行機で今日明日の便だと、空きが出てこない。
船やバスは、だいぶ先まで、予約が取れない。
まいったなぁ。
まぁ、プロなら、何か方法を知っているんだろう。
などとノンキに考え、ねもとのオープン時間まで時間をつぶす。
時間になったので、ねもとトラベルに入ってみる。
事務所は2階と書いてあるなぁ。
と2階を目指そうとするが、1階の食堂から、フィリピン人より、よっぽど濃いキャラのバーさんが呼んでいる。
「2階は人がいないから、ここでいいよ」と声をかけてくれる妖怪みたいなバーさん。
ちょっと直視するのが厳しいほどに、お顔の醜さと派手派手しい髪の色や煌びやかな服装のギャップがすごいバーさんだ。
「でぇ、今日はあんた何でココに来たの?」
この話し方は…
かなり高齢なのに交番勤めしているお巡りさんと同じ、自分にチカラがあると勘違いしている人だ。
可哀想に、フィリピンに長く居て、人との話し方も知らないまま高齢になってしまったのか…。
わたし「今日か明日の出発で、ダバオに行く方法を探してまして、予算は1万円なんですけど…」
実際には1万円も無い。
なんとなく3,000ペソと言えなかっただけだ。
私より少し年上の50くらいの日本人男性が、「とりあえず検索してみるね。
マニラは分からないけど、クラークならあるかもしれない」
と優しく声をかけてくれて、2階に向かっていく。
ババーは「あんた、この時期にダバオ行きが1万円なんて、あるわけないでしょ? 携帯くらい持っているんでしょ? 2万円だって、あるか分からないんだから」
自分で調べて見つからないから、やって来たのだが…
旅行代理店にチケットを探してもらったり、行き方を訪ねるなんて、ごく一般的な客と思うのだけど、すごい言われようだ。
調べてくれた男性が戻ってくる。
8000ペソ以下は見当たらないそうだ。
1日時間が経過しているとは言え、インファンタでは5000ペソ代というチケットもあったのだけど、8,000ペソ払えるなら、空港に行って自力交渉している。
ババーは隣でグチャグチャ言い続けている。
よっぽど、虫の居所が悪いのだろうか…
「今日、明日の出発で、ダバオに1万円なんて、100パーセント無いわよ。
あなたフィリピン初心者でしょ。
もうちょっと勉強した方がいいわよ。
船とかなら分からないけど…」
わたし「船ならあるんですか? どこから乗れますか?」
なりふり構わず食らいついてみる。
ババー「知らないわよ! あんたねぇ、ちょっとは自分で調べなさいよ。
とにかく1万円の予算じゃ飛行機は乗れないし、バスや船もチケット取れないから、100パーセント行く事は出来ないの!」
それにしても、コテンパンに言われた。
向こうはプロなので、シーズンが何時なのかなどの常識を知っていても、わたしはプロじゃ無いので、フィリピンの旅行業の常識なんて知るわけもない。
ただ、ここはフィリピンなので、色々と裏技もあるだろう。
プロなら行く方法だけでも知っているかと思い尋ねただけのこと。
その予算でダバオに行く方法を知らないのであれば、ただ知らないとだけ言ってくれれば、それで話しは終わりだ。
だいたい3,000ペソという少ない資金の中から、旅行代理店にあげる手数料なんて出てくるわけが無いので、チケットを取ってもらうのでは無くて、行く方法を尋ねたかっただけである。
訪れた者に話し方も考えず説教を始める旅行代理店が、どんなレベルなのかは置いといて、いちおう彼等もプロなわけで、そんな彼等が「ダバオには100パーセント行けない」と断言している。
わたしのダバオまでの旅は、まだ始まったばかりなのだけど、インファンタからマニラに出てきたところで終わってしまうのか…
[番外編]世知辛いフィリピンのチンピラバトル
さて、舞台をルソン島からミンダナオ島へと変えるのか? という局面を迎えたが、ここでちょっと[番外編]を一発挟んで、お茶を濁そうかと思う。
このブログを始める前、いわゆるセカンドシーズンにあたるブログの時期になるが(そんなブログ名では無いですけど)、私はマニラにある日本語学校で仕事をしていた。
もう、辞めてしまったので、赤裸々に暴露してしまうけど、私は今になって結婚ビザの申請をしているくらいなので、これまではツーリストビザで仕事をしていた。
その学校は、外国人を雇用する労働許可も取っていないので、ワーキングビザなど取得できる職場環境では無かった。
まぁ、私としては、そんなにモラルに厳しいタイプじゃ無いので、カネさえもらえれば、どこでも良かったし、そんな脇の甘いタイプの仕事場が、自分としてはしっくりきている部分もあった。
高校を1年で中退しているバリバリの中卒である私が、大卒などと偽って働ける職場なんて、まぁそんなものだ。
そんな職場であったが、私は資格も経験も無い仕事で、半年以内に全ての生徒の日本語能力試験N4取得という偉業を達成している。
日本語能力試験には、JLPTと呼ばれる名の知れた試験の他に、NAT-TEST、J-テストなど、複数の会社の試験が存在する。
テストのレベルとしては、JLPTが1番レベルが低く、簡単に取得出来る。
JLPTの良い部分は、メジャーなので名前が知れていて、日本語能力試験と言えばJLPTと言うくらい代名詞的存在になっていること。
悪い部分としては、年に2回しか実施されないので、試験までが遠くなってしまう事である。
話が逸れてしまったけど、日本語の勉強をスタートさせて半年以内にN4を合格するのは、あり得ないと言って良いスピードな訳だ。それを自分の生徒をボコボコと合格させてしまったのが、問題を起こす原因ともなった。
私は何の資格も経験も無い素人。
それが半年も教えない内に、生徒がボコボコと合格していく。
学校を経営していた社長は、コリャ素人が教えても何とかなるぞ! という発想になったのだろう。
さらに日本の法改正により、外国人の技能実習生を数多く受け入れるという風が吹き出す。
日本で大量に仕入れていたベトナム人は、生徒を借金漬けにするヤリ方で、失踪が相次ぎフィリピンに注目が集まっていた。
私が働いていた学校は、一気に生徒数を増やし、日本人の先生を大量に仕入れるという舵を切る。
フィリピンでは、外国人が働ける人数に制限があり、外国人だけが働く職場は基本的に存在しない。
フィリピン人従業員の割合に対して、10%か20%まで(正確な数字は分かんないです)しか外国人は働けない。
学校側は、もともと外国人の労働許可など取っていないので、そんなのお構い無しに一気に日本人労働者の数を増やしに入ったわけだ。
これまで小規模にコジンマリと営業していたのが、生徒数を何倍にも増やして、日本人の先生の数を何倍にも増やす。
そんな目立つ事されたら、私としてはパクられるリスクが一気に高まってしまう。
無知な社長は、そんな事、何も知らないのだ。
無知な社長のせいで、パクられるのは、ゴメンなので、私は早々に撤収する事にしたという流れが、前職をやめた理由。
そして、前回のブログをほぼ更新出来なかったのが、もちろん仕事が忙しいのもあったのだが、外国人技能実習生を数多く受け入れられる様な会社は、結構有名な会社が多くて、書くに書けない事が多すぎたのだ。
業務上知り得た情報をリアルタイムで、ブログに情報をアップするのは、いくらモラルの無い私でも、気がひけてしまったわけだ。
まぁ、住所不定となって、自分の住所を自分でも知らないからこそ、内情を暴露出来てしまうのだけど、私が働いていた学校は、あいおいニッセイ同和損保という保険会社と業務提携していた。
自動車のメカニックを多くの自動車工場に毎年数百人も日本に送っている。
あいおいニッセイ同和損保は、この技能実習生を斡旋するのと引き換えに、年間で数十億〜数百億円の売り上げを伸ばし、今では損保ジャパンや東京海上を抜いて、自動車保険でナンバー1の地位に上りつめた。
そんな背景もあって、学校の不正をチラつかせ、フィリピンの各種機関にコンプレインを出さない様にする事で、あいおいからコンサルティング料を取れないかと画策していた。
パクられるのにビビって、早々に学校から逃げたは良いが、私はカネが無かったので、退職金をあいおいさんに負担してもらおうかと考えたのだ。
まぁ、人によっては、企業恐喝なんて言いかたをされてしまう様なチンピラの真似事をしてみたのだけど、私の希望は叶わず、見事に無視されてしまう。
私の目的は、企業からお金を頂く事だったけど、見事に無視されたので、私には1ペソの得にもならないのだけど、フィリピンの関係各所に送りつけた手紙がコレだ。
英語についてのツッコミは要らない。
私では無く、主にグーグルトランスレートが作ったものだから。
フィリピン人に意味が通じるか読ませると、皆顔色を変えるので、ザックリとした内容は通じている様だ。
んで、どうなったのかだけど、ちょうどホーリーウィークに入る時期にメールを送ったので、無視されたのかもしれないし、内偵調査に入っているかもしれないし、どうなったかは分からない。
あとは、フィリピンという国にお任せしようと思う。
さて、自分がお世話になっていた会社を平気で売る様なマネをする私だが、因果応報ともいうべき事態が起きた。
イミテーションワイフが、ブラックメールが送られて来るのだけど、私に心当たりがあるかと聞いてくる。
マリと言う名の女性だと言う。
私はてっきり、イミテーションワイフが、カマをかける為に脳内で作り上げたドラマを話しているのかと思った。
私はそんなありきたりな名前溢れすぎていて、これっぽっちも思い当たらないと伝えてあげる。
イミテーションワイフが言うには、そのオンナがイミテーションワイフに私の写っている写真を送りつけてくると言うのだ。
どうせ、フェイスブックあたりで拾った写真だろうと思い、「どんな写真か見せてみろ!」と言う私。
その見せられた写真には、確実にワタシが写っている。
なんだけど、わたしには、その写真の記憶が無い。
写真には、私以外にも、メガネをかけたババーが写っていた。
その写真を見せながらイミテーションワイフが話しを続ける。
マリと言うオンナのメッセージには、私がマリというオンナを愛していると言っているのだそうだ。
んで、結局のところ、カネをくれという話しらしい。
自分が写っている写真。
それも私が自分で撮っているアングルの写真。
私は滅多に自分の事なんか写真撮らないのに、その写真には記憶が無い。
記憶が無いけど、見た事のある背景が…
あぁ! 思い出した!!
これは、マカティのブルゴスにあるレッドドアとかいうチェーン店の事務所だ。
ロシア人のオンナが出かけている時に、私が後から外出する際は、事務所に鍵を預けて、その預けた証拠として、写真を撮ってロシア人に送っていた。
そう言えば、ロシア人の女性の名前はマリと言っていた。
まさか、オレの名前をフェイスブックで検索し、それで引っかかったイミテーションワイフに、恐喝のメールを送りつけるとは…
こんな事するアバズレと知っていたら、遠慮なくロシア人オンナの体に手をつけていたのに…
やってもいない事で話しを作られるくらいなら、やっておくべきだった。
イミテーションワイフには、「これはマカティにあるレッドドアというホテルのチェーン店で、後ろに写っているオバさんに鍵を返す時に証明として写真を撮る様に言われた。
彼女はホテルの人間だから、私のIDもチェックしているし、だからあなたを見つけられたのだろう」
と適当な理由を話しておいた。
ロシア人とマカティで何日か同棲して… なんて話が厄介過ぎて、真実を話すには、逆に説明が難しい。
それにしても、自分も含めてだけど、スキがあれば突こうとするものだなと感心する。
フィリピンで起きた出来事だけど、今回やらかしているのは、日本人とロシア人。
どこの国でも、どこの国の人にも、脇が甘いとつけ込まれるので、注意が必要ですな。
【急展開】出会い系で見つけたダバオのオバさんの家に居候しようと思う
結婚式を終了してから、なんだかんだ1年かかって、ようやく手をつけたビザ変更。
このビザ変更の手続きで、約13,000ペソもの大金が必要と知らなかった私は、いきなり金欠になってしまう。
私とイミテーションワイフの持つ現金の全財産は8,000ペソだ。
毎月必要な経費は、家賃2,000ペソ、バイクの月賦3,600ペソ、あとは電気、ガス、水道代。
合計すると月に6,000ペソ以上の支払いがあって、それ以外に食費などがかかる。
カネは全然使っていないけど、生意気にバケーションなんかしている場合じゃ無かったわけだ。
さて、どうしようかな?
と考えてみる。
普通に考えたら、ここインファンタで、ネットで仕事を探して、面接があればマニラに出て行くという方法になるのだろう。
ただ、私が住んでいる借家は、基本的に電波が入らない。
田舎の町の、ちょっと離れた郊外になるので、電波を拾うために、わざわざ町に出て行かなければならない。
まぁ距離的には、バイクで15分くらいの距離で、遠くは無いのだけど、町に行ったら、どこかに入らなくてはいけない。
このクソがつくほど暑いフィリピンで、道端で何時間も携帯をいじっていたら、生命の危機に陥ってしまう。
よって、毎日ジョリビで半日過ごしながら、携帯をいじる生活をするという方法しか無い。
日本人にとっては、安いと感じるジョリビだが、私にとっては非常に高価である。
わずか8,000ペソしか無いのに、それで1ヶ月か2ヶ月か分からないけど、どこかで収入が得られるまで過ごさなければいけないし、面接に行くだけでもバス代が往復で500ペソかかってしまう。
まぁ、そんなに深い計算しなくても分かるのだけど、これがゲームならば、資金不足でもうゲームオーバーだ。
仮に、仕事場がすぐに見つかったとして、どこかの地域に行く交通費、私が寝泊まりする宿代、毎日の食費、これらを給料日まで繋ぐカネが無い。
実際、ブログには書いていないが、面接して、仕事出来るところはあったのだけど、どこかに宿を借りないといけない。
私が持っている資金では、その仕事場の給料日まで、借りれるベッドスペースが存在しない。
イミテーションワイフの親戚の家に少しの間、居候させてもらうにしても、仕事場までの交通費が1日で往復100ペソくらいはかかるわけで、月に25日働いたら2,500ペソが交通費。
それ以外に食費と考えると、居候するのでも月に5,000ペソ以上は必要だ。
今ある全財産8,000ペソのうち、支払いなどを考えると、私が使えるのは3,000ペソというところだろう。
3,000ペソしか使えるカネが無いのに、ノンキに毎日ジョリビで携帯いじりなんて出来やしない。
それも、見つける仕事はただ1つ。
私が住み込みできて、メシまで用意してくれる職場だ。
それをインファンタの田舎から、ジョリビをムシャムシャ食いながら、ネットでコツコツと探して、ロクにメールも受け取れず、そんな中で面接にこぎつけ、見事に住み込みの仕事をゲットする?
いくら、オレがフィリピンの神様に愛されているからって、そんなウルトラCをやってのける事なんかできないだろう。
とにかく、ただネットを使うというだけの為に、ジョリビ代の100ペソが必要なインファンタにいては、時間が経過すればアウトになってしまい、わざわざビザを切り替えた意味が無くなってしまう。
かと言って、行くアテが…
無いわけでも無い…。
実は、まだマニラで勤めていた時に、出会い系サイトで、捕まえたオンナがいて「私の家で一緒に暮らしてくれないか?」とアプローチされているオンナがいる。
ザックリと、そのオンナのプロフィールを記すと、年齢は46歳。
オレより1つ年上。
ダバオ在住で、金持ちの家のヤヤみたいなのをやっているらしい。
持ち家があって、そこで一緒に暮らしたいのだと言う。
メッセンジャーのビデオコールで話した事は、何度かあるけども、実際に会った事は無い。
「私の家で一緒に暮らしてほしい」と言われたとしても、普通はそんなの本気に受け取らない。
でも、私は、詰んでいる。
もう、資金的にゲームオーバーで、奇跡のウルトラCは、思いがけず手に入るもので、願った時には手に入らない。
革命的な行動を行わなければ、革命的な結果を得る事はできない。
私が知る限りの常識では、資金的にどこかで勤める事が不可能だ。
では、ダバオに行ったからと言って、何かが変わるのだろうか?
◻︎まず、寝泊まりする場所が得られる。
→それだけなら、インファンタも同じ。
◻︎ダバオのオンナがメシを食わせてくれるのだと言う。
→1ヶ月くらいはインファンタでも可能だ。
◻︎家にいて電波が繋がる。
→これはインファンタでは無理。
◻︎仕事があるらしい…
→インファンタには無い。
私は、自分にとって条件の良い仕事を探したい。
それは、住み込みの仕事場で、できればメシも付いてきて、給料が悪くないところ。
そんな自分に都合が良い職場があるのかと言えば、フィリピンにはある。
だけども、自分の探すタイミングで、それが突然現れるのかと言えば、それは運頼みになってしまう。
私にとって必要なのは時間。
仕事を探す時間であったり、カネを作る方法を考える時間。
インファンタでも時間はあるけども、ネットが無い。
ネットを使用するのに、町に出てハンバーガーを食べなければならない。
よって、私に選択肢は無い。
ノーチョイスだ。
インファンタで奇跡を待つというチョイスは、経済的に不可能だ。
出会い系で見つけた会った事も無いオバさんの家に行くというチョイスしか存在していない。
もちろん、それを拒否するチョイスもあるけど、拒否したところでインファンタで資金無しに逆転する可能性はゼロに等しい。
そう、オレは、出会い系で引っ掛けたダバオのオバさんの家に転がりこむしかない!
そういう結論に至ったオレには、2つの大問題をクリアする必要がある。
私は、自分1人では生きていけない。
フィリピンのオンナに助けてもらえなければ、自分のチカラでは何も出来ない。
だから、全てを丸く収める様に話しをつける。
まずは、イミテーションワイフに何と言い、どう納得させ、家を出るか。
もう1つは、早かれ遅かれ、ダバオのオンナにも私がフィリピン人のオンナと結婚しているのがバレるだろうから、それを承知した上でも、私を迎え入れられるか? だ。
先に、ダバオの出会い系オバさんから取り掛かる。
ここが拒否すれば、話しは終わりだからだ。
わたし「あなたの住んでいるダバオに行って、お世話になりたいと考えているのだけど、あなたに大事な事を隠しています。
それは、私にはフィリピン人の妻がいます。
わたしは結婚しています。
だけども、あなたの家に行っても良いですか?」
ダバオ「私の家に来るのは問題ないです。でも、フィリピンでは奥さんを2人持つ事はできません。私は弁護士を知っています。全てを私に任せてくれますか?」
オレも駆け引き無しの直球をど真ん中に投げ込んでみたけど、相手側もなんだかドキドキするほどに恐ろしい返球をしてくる。
わたし「わたしはフィリピンに長く住みたいし、仕事もしたいです。
それはツーリストビザでは不可能です。
だから、結婚しました。
長い時間と大きな金額をかけてゲットしたので、それを手放すツモリはありません。
私は奥さんとの結婚をキャンセルするツモリはありません。
あなたも結婚しているけど、一緒に暮らしていないダンナがいると言っていました。
私には全く問題ありません。
つまり、ボーイフレンドとガールフレンドの関係でいたいです。
それでも、あなたの家に行っても大丈夫ですか?」
ダバオ「あなたは私と、奥さんと、どちらを愛しているの?」
という文章からスタートする恐ろしく長いメールが返信されてきた。
感情的になっている。
つまり、怒っていると思われる。
あまりに長文なので、全く読む気になれない。
コリャ、ダメかなと思いながら、返事を返す。
わたし「どちらを愛していると聞かれても、あなたには会った事も無い。
奥さんの事は愛していないけど、奥さんは私を愛していると言っている。
わたしがビザを取得する為に協力してくれて、すごく感謝している。
奥さんはすごく優しくて協力的なので、そんな彼女を傷つけるツモリは無い。
ただ、私は自由だし、自由だから、あなたの家に行きたいと思った。
あなたは怒っている?
わたしがあなたの家に行くのは賛成? 反対?」
わたしは、なんだか面倒くさくなってしまって、会った事も無いオバさんに浮気者扱いされたり、説教されたくも無い。
ただ、生きる為に選んだチョイスでしか無い。
隠し通す事の出来ない真実なので、カミングアウトしたまでだ。
これでダメなら、あきらめよう。
そう思ってメッセージを送った。
ダバオ「私は怒っていません。全て分かりました。分かったから、兎に角ウチに来なさい」
ダバオからは、そういう返事だった。
あぁ、これは、家に来させてしまえばどうにでもできる。
一緒に暮らしたという事実をもとに、後からどうにでもできると言う自信の表れなのだろう。
それでも、いちおうは話がついた。
納得はしていないのだろうけど説得は出来た。
ウソをつかずに、ダバオでのメシつきの住まいを手に入れた。
次は本妻だ。
こちらはウソをつくしか無い。
まさか出会い系で見つけたオンナの家に転がりこむのだと言っても、あーそうですかと返事するわけが無い。
わたし「ダバオに住んでいる日本人の人が、ダバオに仕事あるからと誘ってくれたから、ダバオに行く事になった。
仕事が見つかるまでは、その人の家に世話になるから!」
ワイフ「ふーん、ダバオって… 遠いね…」
わたし「うん、そうだね。遠いね。
でも、お金無いから、仕方ないよね」
ワイフ「いつ行くの? 来月くらい?」
わたし「飛行機の安いチケットが取れる日かな。
来月だと、もうチケット買うお金無いだろうから、すぐに行きたいけど…」
ワイフ「えぇぇ、ずっと休みなく働いていたんだから、1ヶ月くらいゆっくりしなよ」
わたし「どうやって? お金の事ばかり考えて、ぜんぜんゆっくりなんてできないよ」
ワイフ「バイクのお金はどうやって払うの?」
わたし「でしょ? もうお金無いから、働くしか無いんだよ。
すぐに仕事見つかるか分からないから、カラオケとかフリーザーとか、売れるものは何でも売って、しばらくは頑張って」
ワイフ「わかった」
イミテーションワイフは知っている。
犬が全滅してしまった今、結婚ビザという魅力以外に、私を繋ぎ止めておける理由が無い事。
インファンタではどうあがいても、どうにもならない事。
ワガママを言ったところで、私に怒鳴り散らされ、愛想をつかされるだけなので、彼女の答えはYESしか存在しないこと。
こうして、私に関わる2人のオンナから承諾をもらい、私は突然だがダバオに行く事が決まった。
私のフィリピン結婚ビザ13A取得体験
イミテーションワイフとの2泊3日の旅行内容については、まぁ色々あったけど、ブログにするほどのオモシロさも無いので省略。
帰りも、ホーリーウィークという事でバスが運休し、100キロ以上の道のりをトライを乗り継ぎ帰るなど、それなりにエピソードもあるのだけど、SO WHAT? Kaya Ano?な感じで、ただ大変だったという苦労話で面白くもないので省略。
2泊3日のバケーションを味わった結論としては、ホーリーウィークは大人しく家にいる期間だと知った。
まぁ日本のゴールデンウィークと変わらないですな。
さて、ホーリーウィークの週は、大人しくインファンタに籠って、翌週に私のビザチェンジの作業に動き出す。
ホーリーウィークの週明け月曜日は、バスが恐ろしく混んでいそうなのでパスして、月曜日の深夜に出発、火曜日からの動き出しだ。
予定としては、午前5時までにマニラに到着して、書類をゲットするために並ぼうと思っていた。
提出書類に必要なPSAという役所で発行の婚姻証明書がいるからだ。
市役所からもらった婚姻証明書は持っているのだけど、たぶんPSAが発行する書類を持ってこいと言われるだろうと予測してのこと。
ただ、この書類の発行場所について、オレとイミテーションワイフの意見が割れる。
とは言っても、オレは外国人で、何かを知っているわけじゃ無く、インターネットで調べたPSAという機関の住所がケソンシティにあると話す。
だけども、イミテーションワイフは、サンタメサに書類が取れる場所があると言い張り、誰だか親戚に確認して書類の取得が出来た事を確認する。
なので、イミテーションワイフの主張通りにサンタメサの書類が取れる場所に行くのだが、午前5時前からご丁寧にガードのオンナが出てきて、ここは閉鎖されたのでケソンシティに行ってくださいと言い、場所の書いたチラシをくれる。
もし、私が1人で動いていたならば、疑う事も無くダイレクトにケソンシティに向かっていたのだが、フィリピン人妻の妨害にあって、無駄な移動を午前5時前からする事になる。
みんな何も知らないのに、聞かれれば知ったかぶりして答えるのだから、誰かに聞くのはやめろと移動中にイミテーションワイフに説教する。
なんとか、午前6時過ぎにPSAに到着するも、営業開始2時間以上前なのに長蛇の列。
一体何の書類を取りたいのか知らないけど、バカみたいな数でフィリピン人が並んでいる。
サンタメサで書類が取れるなどと言う、ガセ情報に振り回されなければ、もっと前の方に並べていたのに…
大人しく列の最後尾につき並ぶのだが、まだ施設の営業開始には数時間もあるのに、数分おきに数メートルづつ進んでいく。
謎だ? 何故オープンしていないのに、なぜ列が前に進む?
しばらく前に進むと、その理由を知る。
前日にフィリピン全土を襲った地震があった影響で、PSAが休みになるという噂が飛び交い、その噂を信じた者が列を離れ帰宅しているから、少しづつ列が進んでいるのだ。
「噂」と「情報」の区別がつかないイミテーションワイフも、その噂を聞き、「ねぇ、どうする私たち どこ行く?」とか言ってる。
ふざけんな、昨日の深夜から長距離バス移動をして、旧PSAの施設に寄り道して、ようやくたどり着いたのに、そう簡単に引き下がれるか?
わたし「んで、休みって誰が言ったの?」
イミテーションワイフは、列の前に並んでいる人間を指して、みんなが言っていると。
わたし「みんなはPSAの人間じゃ無いでしょ? なんで、みんな帰らないの?」
と矢継ぎ早に質問して、噂に右往左往するイミテーションワイフに対するイラダチをぶつける。
それから数分後、PSAのガードマンがゲート前で説明し出して、噂がホントになった。
マジか… フィリピンではちょっと大きめの地震が来ると、その翌日はガバメントの機関がお休みになっちゃうんかよ。
むしろ逆、そういう時こそ、政府機関には動いてもらいたいとこだけど…。
まぁ、ここはフィリピンだからな…。
ワイフ「ねぇ、私たち、どこ行くの?」
わたし「イミグレーションだよ」
ワイフ「だから、地震で休みなんだってば」
わたし「あのね、さっきのガードの説明聞いた? 地震でオフィスが壊れたんでしょ? だから休みなんでしょ? イミグレーションも壊れたの?」
ワイフ「イミグレーションは分からない」
わたし「でしょ? だからイイミグレーションに行くの! だって、電車もバスも動いているし、みんな会社に行っているでしょ? 行かないと分からないでしょ?」
そう、イミテーションワイフに言いながらイミグレーションに向かうも、私も薄々は休みだろうなと気付いていた。
イミテーションワイフは、薄々じゃ無くハッキリと休みだと分かっていた。
だけど、午前7時前に、今日やる事が無いと確定しても、一体どこに行って何をするのかなんて、私にも分からない。
もし、イミグレーションが開いていたとしても、書類が足り無いと言われて追い返されるかもしれない。
それでも良いから用事を作りたかった。
だって、昨日の深夜から準備してるのに、現地も行かないで、推測だけで引き下がれない。
イミグレーションに到着する。
イミグレーションの前にガードマンが仁王立ちして、私の顔を見ても、話もせずに入り口にある看板を指差す。
わたし「記入する書類だけ、もらいたいんですけど…」
ガードマンは私の話なんて、知ったこっちゃない。
話し始めた途端から、声に反応するロボットみたいにクビを振り出す。
何の事情や用事があろうと、その話しを聞く耳はありません的なポーズの様だ。
だったら、一体何の為に人間が立っているのか分からないけど、こういう時は、中の人間に知り合いがいるなどの裏技が無い限り、お話しにならない。
それならとイミグレの隣にある施設の裏側に行って、書類作りの人間が並んでいるエリアに向かう。
そこで、申請書を作ってもらうのだけど、どうせ来たのなら、今日の内に作ってもらった方が良い。
今日休みという事は、明日混雑する可能性が大きいからだ。
書類作りのババー達は、外国人の私の顔を見るなり、今日はイミグレーション休みだよと声かけてくる。
でも、書類は作れるんでしょ? とお願いして、申し込み用紙だけ作ってもらう。
ついでに、イミグレでもらえるアプリケーションとかいう書類をもらえないかと言うと、私達は持っていないと言う。
んじゃ、イミグレでもらってくれないか? とお願いしてみたけど、拒否されてしまった。
もう、今日出来る事は全部やったし、策も尽きたので、イミグレ近くのスタバで検索モードに入る。
店の外に配置されたテーブルに、スタバのドリンクも頼まず座る。
代わりに外で15ペソで売っているスリーインワンを飲む厚かましさを披露する。
すると、コジキみたいなフィリピン人が私に寄ってきて、iPhoneXを買えと迫ってくる。
iPhoneXなら、フィリピンで売ろうと持ってきて、思う様に売れず自分達で使っているものがある。
私が一台使い、イミテーションワイフが一台使っている。
使い出した途端に、私にも、イミテーションワイフにも、売って欲しいという要望が出るというインネンのiPhoneX。
使い出してしまったら、未使用品じゃ無いので足下見られて買い叩かれるだろうし、使ってしまったら必要な物になってしまうので売るに売れなくなってしまう。
そんな今更必要のないiPhoneXを一体いくらで売っているのか、興味本位で聞いてみる。
15,000ペソだそうだ。
オイ、随分と安いな。
オマエみたいな奴がいるから、なかなか私のiPhoneXが売れなかったのだろうと考えてしまい、ちょっとイラッとする。
そのコジキの格好に相応しくなくiPhoneXを持って歩く男に教えてあげる。
インターネットなら、倍の値段になるから、ネットで売りなと。
私の話しを聞いたコジキは、薄ら笑いを浮かべて、フラフラと消えていった。
と思ったら、またiPhoneXのコジキが戻ってきた。
何故か耳元で10,000ペソで良いと持ちかけてくる。
そして、これは盗んだiPhoneXだから、ネットでは売れないなどと言っている。
正直、カネがあったら、その盗品のiPhoneXを買っていただろう。
だけど、残念ながら、10,000ペソの余裕は無い。
そのコジキに、アップルIDを削除して、SIMカードを捨ててしまえば、盗品である事なんて分からないと、不必要な知恵をつけてあげて、ネットで売りなさいともう一度言ったら、今度は本当に消えてくれた。
今、考えると、iPhoneXをコジキから買ったら、どこからかインチキ警官が現れて、このiPhoneはどうしたんだ? 盗んだのか? 的なセットアップになっていて、そしたらダブルで儲かるかななどと思ったりする。
※写真は私のiPhoneX イミテーションのヴィトンのケース。ケースはグリーンヒルズで300ペソで購入。普通の日本人は500ペソ〜1000ペソで売りつけられる
まぁ、悪い奴等もカネが目的なので、カネの無い私には、うまい話し・美味しい話しには、飛びつき用も無く、騙される経験を味わえずにいる。
さて、翌日にはPSAの書類も発行され、朝から夕方まで時間がかかったけど無事に13Aの手続きは終了した。
この結婚の手続きは、多くの人が必要書類などで、困ったりするらしい。
だから莫大なカネを払って日本語の通じる行政書士などに頼む人もいるようだ。
だけど、そんなカネを払う必要なんて無い。
手続きをする上で、最も大事なのは、フィリピン人妻に関わらせないこと。
誰かが、あー言ってた。こー言ってたと、話しをどんどん複雑にしていき、必要のない書類を用意しようとしたりする。
私のとこのイミテーションワイフも「貯金がいくら無いとダメなんだって!」とか言っていた。
私は「そんなカネは無い。大丈夫だからオレに任せて」と言って、イミテーションワイフを手続きから蚊帳の外にした。
もちろん、銀行の貯金額のコピーなどの書類は、私は一切提出していないし、実際にカネも無い。
2人で撮ったなどという写真も提出していない。
ただ、イミグレーションにビザ変更の手続き、および新しいACR CARDの代金として1万2千何百ペソかを支払ってはいる。
もし、13Aの手続きをしようと考えている人がいて、誰かのチカラを借りたいと思っている人がいたら、私に声をかけて欲しい。
いい仕事しまっせ!
※(無報酬でアドバイスだけ求めるとかは勘弁してください)
書類手続き終了した後、1週間後にアトーニーのインタビューを設定してもらい、そのインタビューも3分で終了。
アトーニーの質問は一問だけ。
「仕事していないのに、どうやって生きていくのか?」
私はイミテーションワイフに「オレが基本的に答えるから、あなたは極力話すな!」と事前に伝えていたので私が回答。
わたし「ツーリストビザでは仕事が出来ないので、ビザの変更をしています。すでに仕事のアプライはしてあるので、ビザが発行されれば、直ちに仕事をスタートします。いつビザは発行されますか?」
とカタコトのタガログ語で返事をした。
アトーニーは、私にビザ発行の日付けを答えて、インタビューは終了した。
※私にお仕事くれる13Aの手続きを手伝ってもらいたい人がいたら、とりあえずコメントください。
(離れた所にいるので…)
チクショウ! ボーンアゲインの家に乗り込んでみた
それなりに説明すると数千字レベルのブログ記事になるし、短く1言で済ませれば「なんやかんやと道中色々ありまして…」ってな感じで、バスを乗り継ぎロックバン・ケソンに辿り着いた私とイミテーションワイフ。
なんやかんやの前回記事↑
結局、イミテーションワイフには、彼女が寝ている間に起きたバンでの騒動は説明しなかった。
変に恐がられてもイヤだし、何よりそう、面倒くさいんです。
さらに言えば、バンを降りた後にバスと呼ばれる超ロングジープニーでも、ちょっとしたドラマが生まれてまして…
それまで書いちゃうと、旅行の内容の薄さが際立つというか(実際、旅行についてはブログに書くほどのエピソードないです)
ちょっと旅行行くだけで、本当にそんな色々起きるのか? 話し作り過ぎじゃないの? って疑われるレベルなので、ロングジープニーでのエピソードは省略。
んで、やっとこさ辿り着いたロックバン・ケソン。
早々に怪しげな宗教ボーンアゲインの館に乗り込んだると意気込んでいるものの、先に到着しているハズのイミテーションワイフの娘と連絡がつかない。
ボーンアゲインの館の場所は、イミテーションワイフも知らない。
同じケソン州だと言うのに、8:30に出発して、到着が午後2時。
腹が減っているので、娘と連絡が取れないのならメシでも食おうと、食堂でメシを食いだす。
メシを食いだした途端に、娘から連絡が入り、ボーンアゲインの館では我々の為に昼飯の準備をしていると言う。
せっかく用意してくれていたのに、何故メシを食っているんだと、電話の向こう側で娘が母にギャーギャー言ってる。
んじゃ、さっさと行ってあげないとと思い、急いでメシを食うと、隣に座っていたオンナが、何故かエクストラライスを注文する。
そして運ばれてきたライスを私の皿の中に入れる。
何をどれだけ作っているのか知らないけど、先方でメシを作ってくれたのであれば、クチにしないというわけにもいかないだろうと思っていたので、さっさとメシを切り上げたかったのだけど、気をきかせたツモリでメシのおかわりを注文するイミテーションワイフ。
どうも、相性があわない。
オレはフィリピンの気候や生活や人間に合わせて、すごく穏やかな性格になりつつある。
なのに、フィリピンでは、気にしてはいけない細いところで、イミテーションワイフに苛立ちを覚えてしまう。
やはり、性格が合わないのだろうか…。
イミテーションワイフに、頼んだおかわりのメシを半分づつにしようぜと提案する。
半分くらいなら、この後もう一度食べる事になっても、食べているフリをする程度の量は、腹に入れられる。
だけども、完全に2つ分食べたら、以降数時間は何も食べれなくなってしまう。
わたし : おい、メシ、半分食えよ!
ワイフ : 私はいいから、あなたが全部食べて!
チッ! 勝手に頼まれたおかわりのメシを全部やっつけるハメになった。
仕方ないと諦めて頑張って食べていると、隣のイミテーションワイフが、ハーフライスをオーダーしている。
そして、涼しい顔して、メシを食ってやがる。
ギッギギッギー(怒りで歯ぎしりする音)
オレは一体どうすればいい?
猛烈に怒りを感じるんだけど、それがゴハンのおかわりについてかと思うと、怒鳴り散らすわけにもいかない。
いや、きっと、ゴハンのおかわりについて、オレは怒っている訳じゃない。
気の利かせ方が、私の意向と反対にあって、ぜんぜんオレ達は分かりあえていないからなのだろう。
伝えたとしても通じ合えない。
だけども、私はこの不機嫌さを隠し通す事は出来ない。
だから、一体何に怒っているのか分からせる為に伝えよう。
私はイミテーションワイフに話しをする。
これから向かう先で、メシを作っていると知っているのに、何故おかわりを勝手にオーダーしたのか?
勝手にオーダーしたおかわりを半分づつにしようと提案したのに、それを拒否した上で、何故さらにおかわりをオーダーするのか?
ah sorry ha
と悲しそうな顔をするイミテーションワイフ。
イミテーションとは言え、あなたを奥さんに選んだオレの方も怒りに任せてひっぱたきたくなるほどに悲しいです。
本当に自分の思った通りに行動して良いならば、1人で帰りたかった。
一緒にいたくない。
久々に一緒に過ごして思う。
長い時間を過ごすほどに嫌いになりそうだ。
そして、これから、良く知らない人の家に伺うのに、あまりにも私の精神状態が乱れすぎていて恥ずかしい。
でも、でも、仕方ない。
ここで私が帰れば、イミテーションワイフもついてくるだろうし、色々と準備したかもしれないボーンアゲインファミリーにも悪い。もちろん、我々とボーンアゲインの接点になっている娘の顔を潰す事になってしまう。
私が少し我慢すれば、丸く収まるのだ。
それにしても、何故、イミテーションワイフが、ただのワイフに格上げ出来ないのか?
何故、自分の世話を自分でする事もできない私が、まるっきりお世話をしてくれるイミテーションワイフから逃げ出したのか?
こういう事なのだろうと思う。
気をとりなおして、ボーンアゲインの館に向かう。
メシを食った食堂からバイクで10分もかからない場所だった。
なんか牧場みたいな場所。
牧場みたいな広い野原なのだけど、牛や馬はいなくて…
建物が建っているけど窓とか無いし、このランハウ(ハエ)が喜びそうな香ばしいアモーイ(ニオイ)、そうか! ここは養豚場だ!!
ボーンアゲインファミリーは、我々をお迎えするのに子豚を一頭しめたらしい。
テーブルの上には大量のLIEMPOがのっている。
それにしても大量だ。
子豚と言っても10キロ以上はあるのだから、当然かもしれない。
そして、子豚一匹の命と引き換えに、盛大にお迎えしてくれる演出をしてくれたのに、イミテーションワイフのせいで、味見をしたいとさえ思えない。
オツムの弱いイミテーションワイフは、テーブルの上の大量の料理を見て、ブソグ ブソグ(お腹いっぱい)と念仏の様に唱えている。
そして、その娘は、ご飯用意しているのに、なんでメシなんか食ってきたんだとブーたれている。
普通の家なら、挨拶も早々に、とりあえず飲みましょう! となるのだけど、聖職者の一家だからなのか、アルコールの類いは用意されていない。
その点については助かった。
豚小屋でバーベキューをするボーンアゲインのファミリーは、お父さん、お母さん、共に40代後半と思われる。
そして、イミテーションワイフの同級生の男の子。
同級生の子の兄と姉が1人づつ、そして妹1人の合計6名で、ローテーションでバーベキューの担当をしていた。
他に、仕事でいない長男と長女がいるらしく、子供達は全部で6名になるらしい。
私が興味津々だったのは、宗教でも無ければ、人間でも無く、豚。
オヤジには、豚の話しばかり、3時間ほど語ってもらった。
オヤジは、豚を全部で約200頭飼育している。
バーベキューを食べた場所以外にも、もう一箇所、近くに養豚施設を持っている。
産後1ヶ月ほどの豚を1頭2,500ペソ+輸送代で購入。
4ヶ月後に1頭約20,000ペソで販売する。
豚は4ヶ月ほどで100kgほどに成長するので、キロ200ペソという事になる。
豚1頭に必要な経費は、エサ代で8,000ペソだそうだ。
それ以外に、豚の飲み水と豚小屋の掃除に必要な水道代は、豚の頭数が多ければ高くなるけども、1頭単価の経費は安くなるので計算しづらいけども、4ヶ月で1000ペソもかからないだろうとのこと。
ここで、ザックリの計算をしてみよう。
売値20,000-エサ8,000-水1,000-仕入れ2,500-輸送?
=8,500-輸送代となる。
やっぱり良い商売だなぁと思っていると、それ以外にも発生する経費がある事を教えられる。
輸送代は、子豚の入荷時だけで無く、出荷時にも発生する。
それと豚を殺す施設に払う代金も発生する。
8,500ペソから、入荷時と出荷時の輸送費、豚のしめ代などを引くと、1頭につき5,000ペソを切るのだと言う。
仮に1頭売って4,800ペソの利益が出ると計算しよう。
豚を育てる期間は4ヶ月だから、月計算だと4で割るから1200ペソ。
日割り計算だと、1200ペソを30で割るから、、、40ペソ。
朝から晩まで、豚のウンコとオシッコを掃除して1日40ペソかぁとなる。
ただ、オヤジいわく。
豚を1頭飼うのと、10頭飼うのは、同じ手間なのだそうだ。
豚小屋単位で考えて、そこを掃除する作業だったり、そこにエサを与える作業の手間は、何頭入っていても、1つの豚小屋の作業であり手間。
だから、豚が多ければ多いほど、効率が良くなるらしい。
まぁ、何の商売でも、ロッドが大きければ大きいほど、単価への経費は下がるわな。
だから、オヤジは200頭の豚を飼っているから、40ペソ×200=8,000ペソの日給ってことだ。
すげえな おい。
なんだけど、ボーンアゲインのオヤジは、あまり金持ちじゃない。
そう、実は他にも経費が、かかっている。
もともと、このボーンアゲインのオヤジの家は、インファンタである。
どんな家かは知らないけど、インファンタに家がある。
何故、ロックバンにいるかと言えば、豚の飼育をする為である。
100キロにもなる豚が10匹収容出来る部屋を10部屋収容する施設を作るとバスケットコート1.5個分くらいのスペースになる。
小さな体育館くらいの大きさだ。
排水設備なんて、ちゃんとしていないから、掃除した汚水はそこら辺に垂れ流される事になる。
100キロの豚100匹分のウンコが日々垂れ流されるわけだから、結構なオイニーが発生する。
収容施設やニオイを考えると、かなりの広大な土地が必要となる。
んで、布教活動をしている時に、オヤジがここ良いじゃねーかと偶然見つけた場所がロックバンで、豚の収容施設付きで、毎月お借りしているというのが実際のところ。
事業開始に伴う借入金の返済があり、毎月の土地や施設の使用料、それと軌道にのったところで、もう一箇所100頭を飼育出来る場所を借りたので、大きい金額が入ってきても、大きい金額が出て行く状態になっているという。
うーん。
養豚場やりたいと思っていたのだけど、実際にやっている人の仕事を見て、試算をして、結果としては金額が大きすぎて、しばらくの間は、現実的じゃないなぁと思う。
養豚場をやる上で大事なのは、きっと土地なのだろう。
周辺に人間が住んでいれば、その汚物のニオイでトラブルが起きると思われる。
フィリピンは人口密度が高くなってきて、少々辺鄙なところでも人間が住んでいる。
ただ、養豚場をやってみたいと検討したのは、その体育館みたいな施設を作れる敷地があって、なおかつ汚水を撒き散らして問題ないジャングルが、イミテーションワイフの一族の土地にある。
だから、養豚場について、じっくり考察したり、興味津々に話しを聞いたりしたわけだ。
ただ、その施設を作るだけで、ハーフミリオンから1ミリオンくらいはかかるんだろうなぁと思う。
さらに問題なのは、そのすぐ近くに人がいないと、豚が盗まれるだろうから、近くに家も作らないといけない。
豚小屋レベルの家を作っても、ハーフミリオンくらいにはなるだろう。
なんだかんだ言って、2ミリオンくらい無いとスタート出来ない。
2ミリオンなら、1年4ヶ月で回収出来る計算だから、良い商売な気がするけど…
1000ペソ冊を100枚まとめて見る日が、何年後になるかも分からないからなぁ。
アーァ、神様2ミリオンくれないかなぁ。
フィリピンの旅はジェットコースター 実録! 山賊退治ハードボイルドWILDだゼィ
フィリピン妻をバケーションを誘っておきながら、家の近場には適当な場所が存在しない事を知った私。
詳細は前回記事のブログ↑
ところがヒョンな所から、よく分からない話しが飛び込んでくる。
実は、私の借りている借家だが、その軒先で毎週日曜に、イミテーションワイフがバイブルスタディと呼ぶ、青空ミサの様なモノが行われている。
日曜の朝10:30頃からスタートして、神父だか牧師だかの娘さんが、神の名を借りて説教をするという無心論者の私には、到底理解不能な会が開かれている。
うちの敷地内でソレが開かれだしたのが、一体いつからなのかは不明だ。
だけども、イミテーションワイフの現役女子高生の娘が、キッカケだったらしい。
娘の同級生に神父さんだか、牧師さんだかのセガレがいる。
ただの同級生というよりも、まぁまぁの仲良しみたいで、いつも一緒に遊んでいたようだ。
その男の子は、そういうお家柄なので、フィリピン的にはお行儀の良い子。
頭に手の甲をつけるポーズをブレスと言ってリスペクトを示す作法になるのだけど、とにかく顔を合わせる度、1日に何度やったら気がすむんだというくらい、うざったいくらいにソレをしてくる子だ。
ブログの読者の方でインファンタに遊びに来てくれた人がいた時にも、その子がやってきて、初めて会う日本人の手を自分のオデコに当てがって、遊びに来てた日本人の方がビックリしていた。
いつも遊ぶ仲良し同級生が、そんな感じだったので、いつしかイミテーションワイフの娘も、その宗教に入り込む様になった。
私はカトリックもクリスチャンも違いが分からないくらいに知識が無いのだけど、どーもその宗教は新興宗教と呼ばれるものらしい。
その名はボーンアゲイン。
名前からして胡散臭いのだけど、人によっては恐がったり、気味悪がったりされる事のある宗教らしい。
実際、以前の勤め先でも、面接時に宗教を聞いてボーンアゲインと答えたら、落とす様にと指示されていた。
ただ、いったい、その宗教に、どんな問題があるのかは、それなりに関わった現在も、私には分からない。
何故なら、普通に考えて、宗教はビジネスだから、信者さんはカスタマーで、カネを支払うものという認識が私にはある。
だけども、私の知る限り、ボーンアゲインは、カネが無いので教会を持たず、ウチの軒先みたいな青空教室でバイブルスタディを行なっている。
もちろん、信者さんは、カネなんて1ペソも払ったりしない。
逆に、その説教をする人が、パンやパンシットを持ってきて、青空教室に訪れた信者さんに配っている。
大して大きな金額では無くても、チリツモで、毎月それなりの出費になる。
その出費の負担は、神父さんというか、牧師さんだかが個人的に全てを賄っている。
そして、神父さんをやっている父親だけでなく、その息子や娘も、各地に飛ばしていて、その交通費や土産物代を合わせると、結構莫大な金額になると思われる。
なんだけど、信者からカネは一切取らず、ただひたすら神の道を説く為に、ビジネスで得たカネで賄っているのだ。
そんな宗教に一体何の問題があるのか分からないけど、問題ある宗教の1つと認識している人がいるのも確かだったりする。
さて、前振り長くなってしまったけど、フィリピン人妻とその娘は、ボーンアゲインという名の宗教を布教活動している家族と親しい関係にあるという事。
そして、そのボーンアゲインの神父だか牧師をやっている人から、ウチに遊びに来いと連絡が来ているのだと言う。
近隣のビーチリゾートは高額料金だし、素直にお呼ばれしようじゃないかという流れに大きく傾いていく。
イミテーションワイフに色々と突っ込んだ話しを聞いてみる。
その神父さんには会った事があるのかと聞くと、無いと答える。
どうやら、男の子以外の家族は、ウチの軒先に布教活動でやってくる男の子の姉と妹を知っているだけなようだ。
なるほど。
私は、同級生の男の子は、面識あるけど、それ以外は知らない。
んで、その家に遊びに行って楽しいのだろうか?
他人様の家に上がり込んで、かしこまって、姿勢を保つのに疲れて、見たくも無いテレビを見てるフリをする。
それが、私の考える、よく知らない人の家に行った時のシチュエーションなのだが…。
まぁ、いいか。
どこも行かず、家にいた場合の1日の行動も予想出来るけど、大して変わらない退屈なものだ。
半年以上もの間、構ってあげる事も無く、犬の世話をさせるのに専念してもらい、最後の瞬間まで看取ってもらったのだ。
よく分からない外の世界の人間と交流してもらって、いい意味でも悪い意味でも刺激を与えて、何の刺激も無いツマラナイ日常の方がよっぽど良いって再認識してもらうってだけでも意義がある。
よっしゃ、ボーンアゲインの家に乗り込むぞ!
実は、娘の同級生の家なのだが、近くでは無い。
いや、家は近くだ。
近所にある家には、同級生のセガレが1人で住んでいる。
親や兄弟は、同じケソン州ではあるのだけど、バスで5〜6時間はかかるロックバンという場所に住んでいる。
今回は、その親兄弟が住んでいるロックバン・ケソンに向かう。
当日、午前8:30にバス乗り場に到着する。
とりあえず乗り場に停車しているバスに乗り込む。
客は誰もいない。
客席で寝ている運転手らしい男が声をかけてくる。
運転手 : さっき、7時頃に出発したばかりだから、しばらくは発車しないよ!
さっきって… 7時は1時間半も前の事だけど、それをさっきと言うのか? どういう時間の流れ方をしているのだろう。
わたし : このバスは何時に出発予定ですか?
運転手 : ドス(2時)
わたし : ツー オクロック? タラガ?(マジか…)
今、8:30で、バスは14時に出発する。
まぁロックバンなんて用事ある人少ないから、本数も少ないわな。
イミテーションワイフが私に声をかけてくる。
ねぇ、このバス、14:30に出発するんだって。
彼女は彼女で、独自に出発時間を問い合わせたのだろう。
何故か30分長くなっているのは謎だけど、この調子じゃ15時や16時にズレ混む事もありそうだし、それが最終バスってパターンもありそうだ。
さて、どうするか…
イミテーションワイフに、近くのバン乗り場に行って、ロックバン行きがあるか聞いて来い! と指令を出す。
わたしは近くの木陰を見つけ、やっぱり家に一度帰るべきかなぁ などと考えながら、タバコに火を点けると…
ワイフ : ちょっと何やってるの! もう出発するんだって!
えぇぇぇぇ、意味が分からん。
何故、半日先の出発予定が今に変わる?
と言うより、このタバコ、火を点けたばかりで、全く吸っていないのだが…
それに、オレの行動が遅くて、グズグズしてるみたいな言われ方、心外なのだが…
などと、ノンビリモードから、突如ドタバタモードへの切り替えが頭の中で整理出来ず混乱するも、急がなければ6時間待ちになるのかと思い、小走りでバン乗り場に向かってみる。
はい、乗って、乗ってと声をかけられ、バンに乗車する。
バンに乗って驚く。
えっ? 誰もいねーじゃん。
乗ってるのは、イミテーションワイフと私の2人だけ。
通常、バンは乗車定員を1〜2名オーバーするギュウギュウの状態になるまで、発車する事が無い。
なんだよ! タバコ1本損したわぁ タバコ吸ってからでも余裕じゃねーかなどと思っていると、私達2名を乗せたら、バンは発車しだした。
マジか? 客数2名って… これって大赤字じゃねーか?
わたし : ねぇ、これいくらなの?
通常、インファンタからロックバンまでバスに乗った場合は、200ちょいくらいの料金がかかるそうだ。
実は、バンの運転手の私用で、急いで帰る用事が出来たので、ガソリン代だけ出れば良いという理由で、私達2人を乗せ発車したと言う。
ロックバンに向かう中間地点あたりにドライバーの家があり、その町までで1人170ペソという話しになったそうだ。
降ろしてもらった町からは、小さなバスが出ていて、それに乗ってロックバンまで向かうのに1人50ペソほどらしい。
インファンタからバンで170ペソ、途中の町から小さなバスで50ペソ、合計で1人220ペソだから、バスに乗った場合と料金はあまり変わらないようだ。
インファンタを出発し、隣町のREALを過ぎると、すぐに走り屋が大喜びしそうな峠がある。
この峠に入って異変に気づく。
このドライバーは、ヤバ過ぎる。
コックリ・コックリしたり、時折自らの頬を叩きながら運転している。
ガードレールのスレスレで目を覚ましては、ハンドルをきるという作業を繰り返している。
わたしの愛するワンちゃん達が向こうで待っていると思えば、死ぬのはさほど怖く無いのだけど、問題なのは死なせてもらえなかった時だ。
恐ろしく痛い思いをして、グシャグシャの体になって、それでも生きてたらと思うと寒気がする。
きっと、グシャグシャの身体的特徴を活かして、バクラランの人混みの中で、ゴキブリとネズミを追い払いながらコイン集めをする人生になるのだろう。
ヘアピンみたいなキツいコーナーに差し掛かっても、ドライバーはハンドル切る事無く、直線的に進んでいく。
つい、本能的に、ウワァァァ! とデカイ声を出してしまう私。
その声で目を覚ましたドライバーは、何事も無かったかの様に、バックを2回入れて切り替えしていた。
もう、ダメだ。
わたしはドライバーに優しく、ちょっと休みましょうと提案する。
横目にイミテーションワイフを見ると、白目を向いてクチは半開きで寝ている。
このオンナ、一体何を信じて、こんな泥の様に寝れるんだ…
そして、ドライバー。
少し休もうという客の提案に、親指を立てる謎の仕草をしたかと思ったら、そのまま十字を切りやがった。
ドライバーはその後も覚醒する事は無く、ガードレールに車体を数度擦りつけ、歩道を歩く人間の手に2度ほど車をぶつけていた。
日本でなら普通にひき逃げだ。
助かったのは、パワーが無い車で、峠を走るのに全くスピードが出なかった事。
私は絶叫マシーンの様に、何度も張り裂けそうな声を上げたが、ドライバーはその度に親指を立てるポーズをしている。
わたしは親指を立てるポーズにどんな意味があるのか理解していないのだが、「今の絶叫はいい声してたぜ!」みたいな意味合いだろうか。
イミテーションワイフはと言うと、わたしが絶叫するたびに、悪い夢を見てた子供をあやすかの様に、抱きしめて私を寝かしつけようとする。
命を弄ぶ様に生きてきたツケが、一気にまわってきて、今日はオトシマエをつけるDAYに認定されたのだろうか。
そんな時、たまたまドライバーの意識がある時に、クルマを探している客を車道に見つけた。
行き先を交渉すると、その客は助手席に乗り込んできた。
なんか分かんないけど助かったっぽい。
きっと、神様は、まだ私を殺さないおつもりだ。
私は死ぬかと思う瞬間を味わう度にケツにチカラが入るので、ケツの筋肉痛を感じ始めていた。
これ以上、ケツにチカラを入れる動作を繰り返していたら、事故にあう前からケツメドから腸が飛び出していたかもしれない。
それにしても、途中乗車してきた客の声が異常にデカイ。
日本人にも声の音量調整が出来ず、シチュエーションに合わせた音量にチューニング出来ない人もいるけど、フィリピンはその割合が日本の比じゃ無い。
目覚めた瞬間からテンションMAXで、唐揚げをオカズにフライドライスを手で食いながら、カラオケ歌い出す奴とかいたりする。
きっと、この途中で乗ってきた男も、その手の類いだろう。
音楽は流れていないが、男の動きからすると、頭の中でジャマイカな感じのメロディーが流れていそうだ。
デカい声で色々とドライバーに話しかける脳内ジャマイカン。
眠気が一気に冷めたドライバーは、隠す事なくウザそうな表情を見せる。
そんなの御構い無しにウザさ100パーセントを繰り出す脳内ジャマイカン。
最初は、そんな脳内ジャマイカンを微笑ましく見ていた私。
見た目はコジキをランボーにした様な、細っこいミリタリーな男。
でも、そいつが乗車してくれた事、デカイ声で絶えず話している事、ウザったいチョッカイを出している事で、ドライバーの眠気は消し飛んでくれた。
私にとっては、神からの使い、エンジェルにも等しいわけだ。
なんだけど、しばらく脳内ジャマイカンの様子を見ていたら、あからさまに嫌がるドライバーに出すチョッカイがエスカレートしていく。
しゃべっている言葉も最初は気にしていなかったけど、過去に聞いた事が無いほどに壊れたタガログ語だ。
私レベルでは8割以上、何を言っているのか理解できない。
アメリカ映画とか見ている時に出てくる、何にでもファックをくっつけて、ファックンなんとかと怒鳴り散らしているアレのタガログ語バージョン。
決してパックンマックンとは関係ないし、あんなソフトさは無い。
日本語で言うなら、くそセンコーが、くそムカつくから、クソみてぇにブチのめしてやったわ的な…
タガログ語だと、何にでもプータケ、プータケという言葉をくっつけて話す。
脳内ジャマイカンは、ドライバーの身体をチョコチョコと触ってみたり、耳に息を吹きかけてからかってみたり、股間をチョンチョンしてみたり、その暴挙はおさまらない。
ドライバーは、何も声を発さないが、険しい顔で怒りに似た気を放ち、脳内ジャマイカンのチョッカイを手で払いのけている。
さらには、オレの方を横目に見てニヤけながら、あの外国人からカネ取って2人で山分けしようぜ!
(8割言ってる事が分からないので、理解できる言葉の2割と、雰囲気から察するに総合すると、こんな事を言っているんじゃ無いかと)
みたいなのをドライバーに大きな声で耳打ちしている。
おーいドライバー、寝ぼけているとはいえ、なんつー客を拾ってんだよ。
オレは、てっきり神様がつかわせてくれた天使かと思ったけど、神様に追放された堕天使をピックアップしちゃったんか。
きっと、心優しくて、おとなしい、気の弱い田舎もんを狙った単独犯の山賊みたいなのが、脳内ジャマイカンの実態だろう。
そうと分かれば… そうと分かれば、オレは一体何を考えればいいのか?
逃げ出す準備か?
山の中で徒歩で逃げ出しても、それこそ相手に好都合だろう。
だいたい、この期に及んでも、オレの隣のイミテーションワイフは白目を向いてマサラップトゥーロッグ(気持ちよく寝ている)
このオンナが一緒にいては、ジャマにはなっても、助けにはならない。
んじゃぁナニ 戦うのか?
修羅場に愛されている私は、危険な場面に本当に良く出くわすのだけど、自慢じゃないが腕っ節には、めっぽう自信がない。
バッグの中をゴソゴソと確認しだす私。
とりあえず、カネは隠そう。
ちょっとばっかりのカネしか入ってないけど、脳内ジャマイカンにくれてやるなんて、まっぴらだ。
よく、フィリピン人は、ホールドアップにあったら、全財産をあげないと殺られるから、全部を出しなさいと言う。
ちょっとくらいのお金なんかより、命の方が大事で、生きれていればカネなんか、どうにでもなるのだと…
まぁ確かにそうだ。
ホールドアップやってる奴等は、殺しが目的じゃなく、カネが目的なわけで、カネさえ手に入れば、お仕事は終了なのだろう。
なんだけど、そんな時に言う事を聞く素直な人間が、フィリピンに流れつくのか? って話しだ。
偏屈ぶりには、タップリと自信があるし、その素直じゃない自分の性格によって命を落としたとしても、ラオウのごとく一片の悔いも無い。
だいたい、カネの問題じゃない(もとよりカネは無い)
何を言っているのか分からない奴なわけで、そいつにカネをだすってことは、相手に脅されてとられるわけじゃなく、意味分からんけど、自ら差し出すってわけで…
つーか、理屈じゃ上手に話せないけど、自分の命を引き換えにできるほど、カツアゲされてカネを差し出すのには同意できない。
というわけで、持ち合わせていたゼニを着替え用に入れてあった靴下の中に丸めて突っ込む。
それをイミテーションワイフのナプキンが入っている袋があったので、その中に入れておこう。
次に何か武器になるような物は無いだろうかとバッグを漁る。
おぅ、良いものが見つかった。
私は陰毛や脇毛がロン毛になるのがイヤなので、バッグにハサミを忍ばせていた。
それと、ボールペン。
チャンスがあるかは分からないけど、渾身のチカラでクビに突き刺せば、オレが生きた証しをキスマークのごとく首筋に残す事くらい出来るだろう。
私はボールペンを右ポケット、ハサミを左ポケットにしまい込む。
相手も山賊みたいな商売をしているなら、それなりの準備をしているだろうから、ちょっと相手にならないかもしれないけど、心の準備だけはしておこう。
私は呼吸を整えながら、その場面が起きた時のイメトレをする。
相手が準備してからだと絶対に勝ち目無いだろうから、オレにカネを寄越せ的な話しをしてきたら、無駄に時間を引き伸ばしたり、交渉せずに、その時は一気に行動にうつろう。
左にあるハサミで目を突こう、次に右手に持ったボールペンをフルパワーで首に突き刺す。
そんなイメトレができた頃、突然に車が急ブレーキで止まる。
ドライバーが低い声で、脳内ジャマイカンに言い放つ。
降りろ!
脳内ジャマイカンがニヤけながら、言い訳しようとするが、それにかぶせる形で、降りろとドスの効いた声で放つ。
ドライバーはどこからか取り出した銃を構えて、もう一度言う「降りろ!」
脳内ジャマイカンは、ニヤけた表情は変えないものの、ドライバーと合わせた目を逸らす事無く、ゆっくりとドアの方に体制をずらして、静かに車を降りた後、ドアを閉めた。
あと数キロでFAMY(ファミ)という町に到着する、周囲には店も家も無い峠の途中だった。
車が動き出した数秒後、ドライバーは私に向けて親指を立てた後、十字を切っていた。
なんだよ、居眠りひき逃げドライバー、やるじゃん。
私はフィリピンに来て、これまで特に危険な目にあった事が無かったんだけど、ちょっと厄介な人もいるのだと、その日に初めて知った。
隣で眠っているイミテーションワイフは、一部始終全てを寝ていた。
普通に前日の夜も9時には、寝る準備に入っていたし、余裕で8時間は寝ている時間があったと思われる。
それに、まだ朝だし、まだ何もしていないから疲れていない。
なのに、何故、こんなにも寝れるのか。
もしかしたら… このオンナ… バカなんじゃ無いか?
いや、知ってはいたけど、改めてそう感じた日になった。
バケーション先を探してたら巡って己の無能さを突きつけられるハメに
ホーリーウィークは、キリスト教の神様のお祭りが各地で行われる。
イエスさんと似た様な痛みを味わう事で、信仰の深さをアピールするという私にとって意味不明な催しが行われる地域も数多くある。
身体中から血をたれ流しながら、半裸の男がフラフラと街を歩いているのを見かけたりするショッキングなシーズンだ。
ただ、どうも私は宗教に興味が無い様で、これらの祭りについて好奇心を示さない。
日本でいうとこのゴールデンウィークというイメージしか無いのが、フィリピンのホーリーウィークだ。
行楽地という行楽地は、どこもかしこも賑わっていて、この時期にどこも行かないなんて、カワイソウ的な雰囲気も漂っている。
そこで、久しぶりに長期間共に過ごすかもしれない奥さんに、バケーションする事を提案してみる。
奥さんの反応は、イヤという感じでは無いけども、嬉しいといった感じでも無い。
不思議そうな顔をしながら「どこ行くの?」と聞いてきた。
この私の奥さんになったフィリピン人妻。
あまりフィリピン人ぽくは無い。
例えば、外食をしようと奮発して、高額なレストランに連れて行こうと思っても、メニューの料金を見て「ここは高いから止めよう」などと言ってくる。
たしかに、料金ばかり高くて、美味しくない店が多いので、これならイナサルでチキンのバーベキューでも食べてた方がマシだなと思う事は数多くある。
だけども、例えば、マカティのグリーンベルトに居て、どこかで外食をしようと思っても、「高すぎる 高すぎる」ばかり言って、店に入る事ができないのだ。
腹が減って、もういい加減、入る店を決めてくれないかとイライラしてくると「お腹すいたでしょ? 私はいらないから、あなただけ食べて」なんて、シラケる事まで言ってきて、余計にイライラが倍増したりする。
この際だから、食べた事の無い物をどんな味がするのか楽しんでみよう♫
みたいな、そういう発想には切り替えられない。
保守的な彼女は、高いカネを払って、いったいどんな味がするのか分からない物にチャレンジするなんてイヤなのだ。
というか、料金が高いというだけで、カネの事で頭がいっぱいになり、何を食べても美味しく無いのだろう。
どちらかと言えば、私もそういう考え方のタイプなので、気持ちも分かるのだけど、彼女の場合は極端過ぎるのだ。
結局、マカティのグリーンベルトで食事をした時も、気取ったイタリアンレストランに入ったのだけど、私が注文したスパゲッティには一切クチをつけないし、値段だけを見て注文したと思われるピザのマルゲリータには「こんな高いのに具が入っていないのはオカシイ」とか「これなら私が作った方が美味しい」みたいな文句をグチグチ言うだけだった。
そんな彼女は、通常よりも高額な料金となるホーリーウィークのバケーションに、喜びよりも、むしろ不安を感じていたのかもしれない。
妻よ、心配は要らない。
カネは無いし、そもそもステキなところに連れて行く気など無い。
どこかに連れて行ったという事実さえ作れれば、私は夫としての役目を果たせている気分になるのだよ。
別れた奥さんと10日間も遊び呆けていた負い目を感じなくて済む様にという意味もあるのだよ。
こちらがその記事↑
というわけで、私としても、近隣の安宿でも探して、1泊か2泊すれば良いだろうと考えたわけだ。
まずは、物件探しという事で、インファンタの市場の2階にある食堂で、30ペソもするハロハロを食いながら、ネットを検索する。
・ ・ ・ ぜんぜんヒットしねぇ
インファンタに住んでいて、さすがにインファンタにお泊まりじゃぁバカみたいだし、ディナヒカンってバランガイのある数キロ離れたインファンタの港の方は、なぜか町の人間は近づくの嫌がるから、お隣のNAKAR とREALってcityで検索をかけるけど、ぜんぜん出てこない。
出てきても、ふざけた金額だったりする。
ここらの田舎者は商売下手だから、ネットへの掲載の仕方を知らないのだろうと、直接宿と交渉しようと現地にバイクを走らせる事にする。
向かったのはGeneral NAKAR CITYという、インファンタよりも更にマイナーなところ。
グーグルマップで見ると山岳地帯になっていて、平地が存在しない。
山の裾野が海岸になっていて、世界遺産の知床が常夏になったバージョンがNAKARである。
このNAKAR、なんでカタカナ表記でなくアルファベット表記にしているかと言うと、カタカナ表記だとナカになる。
でも、現地でナカと言っても通じない。
ナカールみたいな感じで原住民は発音しているけど、ナカールとは言っていない。
そんな感じで厄介なので、アルファベット表記にしている。
そんな常夏の知床NAKARにバイクを飛ばして行くと、おぅ海外線にあるじゃねーか! 知る人ぞ知るビーチリゾートが。
んじゃ、ちょっくら、1番綺麗なホテルから値段聞いてみるか。
奥さんになったオンナには、オマエ交渉下手だから待っとけ!と日本語で伝える。
アノ? アノ? と聞き返してくるけど、訳すと角が立つので、ウェイト ラン(待っててね)と省略して伝え、ホテルのエントランスに向かう。
わたし : タオ ポー(ごめんください)
ビーチリゾートなのに、外国人は来た事が無いのだろう。
受付にいたスタッフのオンナは、外国人の私に
スタッフ : ヒンディ スピーキング イングリッシュ アコ ポ(私は英語が話せません)
とガッツりタガログ語と英語のミックスで、断りをいれられる。
わたし : タガログ ナ ラン(タガログ語でいいです)
スタッフ : オーケーポ アノ ポ(分かりました。んで何ですか?)
わたし : マイ タノーン アコ(質問があります)
スタッフ : アノ ポ(なんでしょ?)
わたし : マッカーノ バ? イサン アラウ ステイ(1日ステイするのいくらですか?)
スタッフ : オーバーナイト ポ?(泊まりですか?)
わたし : イエス
スタッフ : エイト タウザン ポ(8000ペソです)
わたし : は?
スタッフ : エイト ゼロ ゼロ ゼロ ペソス ポ
イヤ、そっちに対して、は? と言ったわけじゃなく、何故に時期や人数や部屋のグレードとかの前に、いきなり8000ペソが出てくるんだって部分に対して、は?と思ったのだけど。
というのは複雑でトランスレートする自信が無いので省略する。
わたし : バスタ グスト コ チープ グスト コ ムラ(とにかく安いのが良いんですけど)
スタッフ : パレハース ポ エイト タウザン ポ(同じです。8000ペソです)
あれ?
なんだか、会話が成立しなかったなぁ。
オレが日本人だから、ふっかけられたのかな?
それとも外国人イヤだから、断られたって事かなぁ?
などとクビをかしげながら、ホテルを出る私。
仕方ない。
次は原住民行かせてみるか。
よし、次はオマエの番だイミテーションワイフ。
タガログ語をネイティブに話せるチカラを見せてこい!
綺麗なホテルの隣にある2番目に高価そうなホテルへ、値段を聞きに行かせる。
炎天下の中、レッチョンの様に丸焦げになりながら待つ事3分。
イミテーションワイフが能面のような無表情で帰ってくる。
わたし : んで、値段は聞いてきたか?
ワイフ : うん、オーバーナイトで7500ペソだって!
わたし : は?
ワイフ : セブン ファイブ ゼロ ゼロ ペソ
なんだよ、サンドイッチマンのコントみたいじゃねーか。
数字が分かんなくて、は? って言ってるわけじゃ無いから!
つーか、なんで、こんな秘境っていうか、人口密度が異常に高いフィリピンにおいて過疎地化してるNAKAR地区なのに、マラテのニューワールドみたいな金額を提示してくるわけ?
意味が分からん。
わたし : ところでオーバーナイトって何なの?
ワイフ : ねる
わたし : イヤ、それは分かるのだけど、オーバーナイトじゃないハウトゥユーズがあるわけ?
ワイフ : 寝ないで帰る
まぁ、そうなるわな。
わたし : 寝ないで帰るのはいくらなの?
ワイフ : 1人500ペソだって
わたし : は?
ワイフ : ファイブ ゼロ ゼロ
もういいよ いい加減にしろ ありがとうございましたぁ。
って、ネタなら終了するところだけど、いったい500ペソに何が含まれているのか知らないし、知りたくも無いのだけど、この金銭感覚 いったいこの地区で何が起きてるんだ?
って、かなり混乱しはじめる私。
とりあえず海岸線に並ぶホテルで安そうなボロそうなホテルをバイクでトコトコ走りながら探してみる。
朽ちた木の板にparkingと書いてあるスペースがあり、そのスペースを管理していると思われるサリサリストアに寄ってみる。
わたし : メロン カヨ ロイヤル?(ロイヤルはありますか?)
ババー : メロン(あるよ)
わたし : マラミッグ? (冷たい?)
ババー : センプレ(あたりまえ)
わたし : ダラワ(ふたつ)
不良少年がシンナーを吸うかのごとくビニール袋に入れられたロイヤルを飲み始めると、我が嫁イミテーションワイフがババーに話しかけ出す。
このババー、どうも胡散臭い。
悪役商会の千本松喜兵衛みたいに、ジジーでも、ババーでも、どっちにもいそうな顔だけど、とにかく人相が悪い。
ワイフ : ねぇ、1500ペソの部屋があるんだって!
わたし : ・・・
そりゃさぁ、今まで8000だの7500だの続いたから、えらく安く感じるんだろうけどさぁ。
ミンドロ島のまぁまぁ悪くないホテル(不満と言えば、フリーwifiって書いてあったのに、そんなの無い事。昼間の時間帯は停電が起きてるとウソをついてエアコンの電源だけ止める。オンリー真水シャワー)ってレベルで、2人で1日1200ペソだったからなぁ。
それより300ペソ高いのかぁ…。
わたし : まぁ見てみるか。
悪役商会の千本松喜兵衛と我々は、海岸にあるという部屋を見に行く。
海岸に何軒かバハイクボみたいなのがある。
あれかぁ… ボロいっちゃボロいけど、味があるって見方も出来なくも無い。
まぁ内装次第かな?
なんて、勝手な事を思いながら、建物に向かっていく。
んでバハイクボの周りをグルグルと見る私。
その私に向かって千本松は言う。
千本松 : そこは4000ペソだよ!
うぇ? ババー、いくら何でも強欲過ぎる価格設定だろ。
このオシャレな犬小屋で4000ペソは無いだろ⁉︎
ワイフと千本松は近くの小屋に入っていくので、私も続いてついていく。
中に入ると、何やらイミテーションワイフと千本松が言い合っている。
ワイフ : さっきは1500ペソって言ったのに、なんで2500ペソなの?
千本松 : ルームは2500ペソからだよ。
1500ペソはアレだよ。
そう言って指を指している。
指の指し示す方向に目をやる。
やるけど、何もない。
どれ?
千本松がアレだよと言って、アゴで指し示す。
・ ・ ・
ハンモックじゃねーか?
ババーはハンモックで一晩1500ペソ取れると思っているようだ。
これは、なんなんだ?
冗談なのか? それともバカにされているのか?
トイレはと聞くと、海をアゴで示す。
天然の水洗トイレという意味だろうか。
ちなみに2500ペソの小屋ものぞいてみたが、ボート小屋っていうか、物置小屋みたいな場所で、こちらもトイレや水道施設は無い。
一晩4000ペソというバハイクボからは、水道やトイレがついている。
でも、いったい、何故、私が借りている借家よりも狭くて汚くて居心地の悪そうな豆電球1つを与えられているだけの罰ゲームの様な場所に、我が借家の月に支払う料金の倍額をわずか1日の為に支払うという料金設定をできるのだろうか。
謎だ。謎過ぎる。
意味が分からん。
ここらは観光施設で、観光客でメシを食うハズ。
これでは間違って予約を入れてしまった客しか訪れないし、その間違って来た客がリピートする事も無い。
印象が悪くなる事で生活に大きな影響を受けるのは自分達なのに、何故自分達でイメージを悪くする。
イミテーションワイフと話しながら帰る
わたし : 何なのこれ? 変だと思わない?
ワイフ : うん タマッド(怠け者)だと思う。
うーん、タマッドという言葉に、怠け者と訳す意外の意味合いも含まれているのか分からないけど、どーもピントがズレた答えだ。
かと言って、私もズバリこの状況を言い表す表現方法が思いつかない。
でも、PANGIT(ブサイク)である事は間違いない。
物の価値に正当な価格設定がなされていないからだ。
私の借家があるインファンタ、隣のNAKARとREAL、どこも似た様な感じで特別に特徴もない。
そして、どこも、狂っている。
何が狂っているのか? というと、基本的に住民は貧乏人だ。
フィリピン名物と言って良い物乞いが存在できないほどに貧乏だ。
実際、町の中で集金活動をしている者を見た事が無い。
他人にカネをあげれる余力が無いから、物乞いにカネをあげない、もしくはあげれない。
だから、多くの者は仕事を持っている。
その仕事だけど1日、12時間働いて150ペソしかもらえない。
インファンタにはイナサルとジョリビがあるのだけど、何かしらのセットを1人前頼めば100ペソ前後する。
一回の食事で日給が吹っ飛ぶわけだ。
当然かもしれないが、ジョリビもイナサルも、マニラで食べようと、インファンタで食べようと同じ料金だ。
だけども、人件費がマニラとインファンタではぜんぜん違う。
マニラだとインファンタに比べて、1人につき3倍高い給与を払わないといけない。
私は1年前にインファンタにジョリビができた時、すぐに閑古鳥が鳴くのだと思っていた。
先述した通り、ジョリビを買ってしまったら、日給が消し飛んでしまうからだ。
だけども、オープンから1年が経過した現在も、ジョリビには客がオープン当時と同様に客が入っている。
さらに謎なのは、インファンタやNAKAR、REALは、マニラより多くのものが高額である。
例えば野菜。
市場で売られている野菜は、マニラのディビソリアで買い付けられ、市場に並んでいる。
マニラはたくさんの人間がいるから、フィリピン各地から品物が集められ、価格競争になり安くなる。
それは理解できる。
インファンタなどの遠方に運ばれれば、買い付けた値段にガソリン代と利益分が乗るので、だいぶ料金が高くなる。
なのにだ。
この地域の人は野菜を作らない。
「多くの野菜はバギョみたいな地域でしか作れない」とか
「ここら辺は土地が痩せてるから」とか
そんな言い訳ばかりをする。
別に調べたわけでも、実験したわけでも無いけど、この辺りの地域に適した野菜があるのだと思う。
野菜だけじゃない。
アパートの部屋を借りるのだって、下手すればマニラより高くつく。
基本的にアパートが無いからと言えば、それだけなんだけど、この辺境の地で大都市マニラと同じアパートの値段は、ちょっと…と思う。
そして、読んでる人、誰もが思う事。
そんだけ分かっているなら、オマエがやればいいじゃないか?
当然ながら、こんだけイビツな構造なら、勝機を見出せる何かがあるハズと思って、アレやコレやと考えてきたけど、食堂を閉店させてから未だに何もスタートさせていない。
それはイミテーションワイフが言った通り、私もまたタマッド(怠け者)で、金持ちになりたいわけじゃなく、何か一生懸命やる情熱も持っていない。
カネなんか持っていなくたって、もし真剣に情熱を持って野菜農家を目指したなら、シャベルやらクワやら、安い農機具くらいなら、買ってくれるブログの読者だっている事だろう。
だけども、それを自分が本当にやりたいのかって想像した時、オレは自分の人生をフィリピンの田舎で野菜作りに捧げる事は出来ないなぁって思う。
いっときだけなら、そんな時期があっても楽しそうだとは思うけど、やるにしてももう少しジイさんになってからがいいなぁと思ったりする。
そっかぁ。
イミテーションワイフが言ってたタマッド(怠け者)
ピントがズレていると思ったけど、案外言い得て妙なのかもしれない。
こうして、ご近所でのバケーションをあきらめる事になる。