はるばる来たぜ♫って古いか… ダバオの旅[完結編]感動のラスト?

わたしはSan Ricardoという港に到着した。

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時間は朝の7:30

ここはレイテ島最南端にある港だ。

海を見てもミンダナオ島は見えないが、地図を見る限りは、泳いで渡れそうな距離感。

そう、わたしはゴールまで目と鼻の先まで到着した。

100パーセント不可能を行き当たりばったりの思いつきだけで、可能にしてしまう一歩手前まで来た。

 

ここで、船のチケットが確実に獲れることは、バンの運転手に確認していたので心配していなかった。

まぁ、間違って、船に乗り遅れたところで、次の便に乗れば確実に今日中にミンダナオ島に到着できる。

 

バンの運転手が間違いなく船に乗れると断言していただけあって、全然人がいない。

フィリピン的な感じでチンタラやられても、余裕で船のチケットをゲットできた。

向かうはミンダナオ島のスリガオ港だ。

料金は140ペソ。

この港は、ちょっと変わっていて、ターミナルフィーみたいなのを2回払う。

5ペソと17ペソの合計22ペソ。

 

8:15にサン・リカルドを出発。

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ルソン島からサマール島に渡る船に乗った時は、夕方だったし、うんこするのに忙しかったので、海を見ている余裕があまり無かった。

まぁ、夕焼けの海の綺麗さは、ちょっとくらい堪能していた。

 

なんだけど、今回は朝8時という素敵な時間帯の海が見れる。

天気は快晴。

海の色が…  海の色が凄すぎる。

わたしの持つ日本語の語彙では、ちょっと表現できない綺麗さなのだ。

 

いや、インファンタの海も綺麗だ。

圧倒的に人間の数が少ないから汚れていないし、交通の便も悪く、観光地化されていないから、隣町のREALにサーフィンの客がちょっとやってくるくらいなので、綺麗は綺麗だ。

なんだけど、インファンタの海の綺麗さは、例えると夏の日本海みたいな綺麗さ。

海沿いに並ぶ松の木が、ヤシの木に変わった感じがインファンタ。

 

だけども、このサン・リカルドとスリガオの間の海は、超スーパーハイビジョンで映してもらいたい海の色合い。

船に乗った時には感じなかったのだけど、沖に出てからの深みのあるアクアマリンな色に目を奪われる。

正直、生まれて初めて見る色だ。

 

インファンタでプールに行こうと誘われて、山合いの川溜まりでエメラルドグリーンの水を見た時も、初めて見る色に感動した。

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だけど、これぞ南国というクリスチャン・ラッセンの絵画みたいな海の色を人工じゃなく自然の中で見ると、アクアマリンってこういう色だったんダァと興奮してしまう。

 

写真撮ってみたけど、全然目で見ているのと違う。

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これまで写真なんて、目で見ているものと同じものが写るものだと思っていたけど、写真は同じ様で違うものが写っていることに気づく。 

海の色に大興奮して目を奪われていると、なんだか大きめの魚が海面をピョコピョコとジャンプしている。

マグロかな? カツオかな?

なんて見ていると、イルカじゃねーか!

 

船が作る波に、イルカが波乗りして遊んでいる。

3匹並んでジャンプ! とか、鴨川シーワールドのイルカショーを彷彿させるショータイムを繰り広げている。

 

って、3匹どころじゃない。

すごい数のイルカだ。

気づいたら、船がイルカ達に囲まれている

ライオンの群れに囲まれたヌーの赤ちゃん状態だ。

 

イルカが海にいる事に気づいたフィリピン人が、海の見える船のヘリに集まってくる。

こういう時のフィリピン人は好きじゃない。

わたしがいるスペースに、まるでわたしが見えないかの様に割り込んで、わたしの視線の先にスマホをかざしてくる。

ちょっと、中国人や韓国人を感じさせるデリカシーの無さ。

 

負けるものかとスペースを空けずに踏ん張っているわたしにグイグイと突っ込んでくる奴がいる。

 

イテェじゃねーか!

 

うん? 痛くない?

なんかポヨンとしている

 

規格外の爆乳ホルスタインちゃんじゃねーか!

 

ぜんぜん、ゆるす。

 

許すから、もっとグイグイ入ってきて、おじさんに爆乳を押し付けなさい デヘヘッ

 

と気味の悪いスケベジジーに化していたのだが、爆乳の弾力を味わえる時間は長くなかった。

 

波乗りに飽きたイルカ達が、スーッとスカしっ屁の様に消えてしまったからだ。

 

わたしは、最近気づいたのだが、オッパイの魅力に勝てない。

前歯と前歯の隙間が広かろうと、アゴがわれていようと、ハゲていたとしても、オッパイの谷間とポヨンとした感触があれば、全てを許すことができる。

その先が見たいという欲望に駆られている時間が萌え萌えキュンだ。

その先が見えた時点で、お腹がいっぱいになってしまう。

 

ちょっと話しが逸れてしまったけど、元に戻そう。

わたしは自慢じゃないが、イルカに触った経験もあるし、シャチに乗った経験もある。

オンナとデートする場所の定番として動物園を選ぶオトコだし、ちょっと気に入ったオンナなら水族館をチョイスする。

それくらい海洋生物に魅力を感じている。

 

ただ、野生の生イルカを近距離で見たのは初めてだった。

わたしは、両目とも白内障の手術済み。

だが、さらに白内障が進み、レーザー治療をしなければならないのだけど、放置している状態なので非常に視力が無い。

だから、離れた場所で、イルカにジャンプされても、興奮することができない。

だけども、そんなメクラの一歩手前のわたしが、大興奮できるほどに近距離で、イルカのほうれい線が分かるほどハッキリ見えた。

 

イルカに触ったことがあったり、シャチに乗ったことがあると言っても、所詮は餌付けで飼いならされた家畜でしか無い。

だけども、自然のイルカは、家畜とは全く別物で、いわば犬とオオカミの違いくらいある。

犬を見ても心踊らないが、オオカミの放つ殺気立った雰囲気には、男なら誰でも痺れるはず。

家畜化したイルカじゃなく、自然のイルカを間近で見れる機会は、神様からのギフト以外にナニモノでも無い。

 

綺麗すぎる海と、ネイティブイルカのショータイムという豪華すぎる南国コンボを堪能すると、そこはもうスリガオ港だった。

時間は午前10時。

1時間45分ほどの乗船時間だった。

 

スリガオ港は、ほかの港と違って、トライシクルやバンの客引きがいない。

客引きがいなければ、ストレスも無く静かで良いのだけど、わたしにとってみれば、情報をもらう人達でもあったので、いなければいないで困るものだ。

 

もう、ミンダナオに到着したのなら、あとは困ることも無いだろうと、港を出てスグの食堂に入ってみる。

 

なぜか緊張した空気が食堂に流れる。

スリガオ港なんて、外国人の客もたくさんいるだろうから、外国人には慣れっこなんじゃ無いかと思うが、逆に港関係者以外にメシを食う人もいないのだろうか?

 

意を決した感じで、食堂のオバさんがやってきた。

 

「アー ユー スピーク タガログ?」

 

マジかマジで言っているのか?

 

この地域のメインとなる言語はビサヤ語となるハズ。

アー ユー スピーク ビサヤ? なら納得もいくのだけど、イングリッシュでタガログ語を話せるか? とビサヤ語圏の人に尋ねられるとは

 

ミンダナオ島で交わした初めての会話が「アー ユー スピーク タガログ?」

衝撃的だ。

 

わたしは、オバさんの質問には答えず「イサン アンパラヤ、サカ、イサン タロン、サカ、イサン カニン。(ゴーヤ1つと、ナス1つと、ライス1つ)

メロン カヨ サバオ?(スープはありますか?)」

タガログ語でオーダーしてみる。

 

緊張の空気が流れる静まった食堂内で、5歳くらいの小さな子供がつぶやく。

 

「あっ タガログ語

 

それをきっかけに、食堂内に安堵の空気が流れ、奥からオンナの声で「アンパラヤ ダウ(ゴーヤだって!)」とバカみたいな声でゲラゲラ笑いだす声が聞こえる。

 

らっきょうが転がるだけで笑う女子高生くらい、いったい何がオモシロイのか分からないが、英語を話されなくて良かったということなのだろうか。

 

アー ユー スピーク タガログとわたしに聞いてきたオバさんが、引きつった表情から笑顔へと変わり、「タガログ語じょうずね」と褒めてくれる。

 

gamay lang(少しだけ)」

 

と、ほんの一握りだけ知っているビサヤ語を混ぜて返事すると、腹をかかえ、机を叩きながら、まさに爆発的に一同が大爆笑し、ヒーヒー苦しがっている。

 

ただ、話しただけで、ここまでウケた事は過去無いのだが、ミンダナオ謎すぎる。

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わたしは福岡県直方市生まれ、強盗、強姦、剛力

剛力は関係ないけど、強の字がつく犯罪率の高さから、修羅の国と称される福岡県。

父親が福岡県人なので、わたしの育ちが関東でも、なんとなく福岡の県民性は分かっている。

マンガの様な伝説を残す奴が溢れ、イカレ具合では全国でも有数の地域だ。

 

そんな地域の血がわたしに反映されているのかは分からないが、ミンダナオという地域においても、気性や性格などで特徴的な部分があるのだろう。

少なくとも、わすか160kmほどしか離れていないインファンタでマニラの人間性とは違うと感じる部分があった。

マニラから遠く1500kmも離れたミンダナオは、言葉だけでなく、人間的に違う特徴があって不思議で無い。

 

そんな手探り状態からスタートするミンダナオにおいて、「アー ユー スピーク タガログ」と言われたのは衝撃だったし、大してオモシロいことを言ったわけでも無く、笑われる様なことをした覚えもないのに大爆笑されたのは驚きだった。

 

さて、そんな感じでコミュニケーションを取ることが可能であると双方が分かったところで、わたしは港からバスターミナルまでの行き方を聞く。

歩いて行けるかと聞くと、皆がクチを揃えてムリムリと言う。

食堂でゴーヤ30ペソ、ナス15ペソ、ライス10ペソ、合計55ペソを支払うと、トライシクルに乗ってバスターミナルへ向かう。

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スリガオ リパタというのが、このエリアの名称らしい。

 

スリガオ港から近くのバスターミナルまでのトライシクル代金が100ペソほど。

連れて行ってもらった場所は、バスターミナルというか、バンの乗り場になっていて、ダバオに行くバスに乗るにはBUTOANという場所へ行く必要があるとか

バンに乗り、BUTOANという場所へ到着した時は、13時になっていた。

 

では、ここで恒例となった詳細報告をしよう。

54日(土) 22:00 家を出発

5日(日) 0:00 インファンタからバスが出発。

5日(日) 4:30 オルティガスに到着

5日(日) 5:50 バクララン到着

5日(日) 9:00 ねもとトラベル

5日(日) 12:00 クバオ到着

5日(日) 20:30 クバオからバスが出発

6日(月) 9:00 レガスピに到着

6日(月) 10:00 レガスピからバスが出発

6日(月) 13:30 マトノグ港に到着

6日(月) 17:00 マトノグ港を出発

6日(月) 19:20 アレン港に到着

6日(月) 20:00 バンでアレンを出発。

7日(火)  2:00 タクロバンに到着。

7日(火) 3:00 バンでタクロバンを出発。

7日(火) 5:00 サゴに到着

7日(火) 5:30 バンでサゴを出発

ーーーここまでが前回と前々回のブログーーー

ーーーここから今回のブログーーー

7日(火) 7:30 サン・リカルド港に到着

7日(火) 8:15 サン・リカルド港を出発

7日(火) 10:00 スリガオ港に到着

7日(火) 10:30 トライシクルでスリガオを出発

7日(火) 11:00 バン乗り場に到着

7日(火) 11:20 バン乗り場を出発

7日(火) 13:00 BUTOANに到着

7日(火) 13:30 BUTOANを出発

7日(火) ダバオシティに到着?

 

お金

5 0:00 バス 245ペソ

5 5:30 MRT 15ペソ

5 9:30 LRT1 20ペソ LRT2 20ペソ

5 20:30 バス 1,250ペソ

6 バス160ペソ トライ200ペソ

6 17 120ペソ ターミナルフィー30ペソ

6 20 バン 500ペソ

7 3 バン 200ペソ

7 5 バン 150ペソ

小計 1,000ペソ

合計 2,910ペソ

残り手持ち金 910ペソ

ーーーここまでが前回と前々回のブログーーー

ーーーここから今回のブログーーー

7日(火) 8:15 140ペソ ターミナルフィー5ペソ+17ペソ

7日(火) 10:00 食事 55ペソ

7日(火) 10:30 トライシクル 100ペソ

7日(火) 11:20 バン 150ペソ

7日(火) 13:30 バス?

 

13:30に出発するダバオ行きのバスに乗り出発。

この時、わたしの所持金は、きっかり500ペソ。

小銭入れの中には、センタボが入っているだけの状態で、全財産が500ペソとなっていた。

手持ち金が少なくはあったのだけど、マニラーインファンタ間が約250ペソだし、その倍の料金でも500ペソあれば余裕だろうと、特に料金をたずねることも無く乗車。

 

切符切りのコンダクターのお兄ちゃんが来た時に、「ダバオ エコランド ターミナル」と告げる。

この場所が出会い系のオバさんに指定された場所で、そこで待つと言われていた。

 

カチカチと切符に穴を開け、なんか金額を言われたけど、聞くことも無く、500ペソを差し出す。

切符切りのお兄ちゃんが何か言っている。

 

うん? なに?

えっ… 739ペソたけーな

つーか、ねーし

 

ついに資金切れとなったわたし。

かと言って、ヘソクリ的な隠してるゼニとか、そういうのも無い。

金目のモノも思いつかないし、たぶん持っていない。

 

もう、バスは動き出してるし

でも、持っていないモノは持っていない。

 

仕方ない。

500ペソのところで降ろしてくれ!」

と言ってみる。

 

切符を切ってしまった後だからなのか、切符切りのお兄ちゃんは、頭をポリポリしながら、ゴニョゴニョ言って困ってる。

そりゃそうだ。

これはバスであって、タクシーじゃない。

きっと、切符を切ってしまったら、その後チェックが入るから、不正を疑われて面倒なのだろう。

 

オレはいったい、どうすれば?

 

しょうがない。

いったい、ダバオシティまで何キロあるのか知らないが、歩くしかねーなと腹をくくって、「じゃぁ、ここで降ろしてくれ!」と頼む。

切符切りのお兄ちゃんは、頭をポリポリしながら、なんかゴニョゴニョ言ってる。

もう、動き出しているし、キップも切ってしまったからということなのだろう。

 

でも、わたしとしては、開き直って、500ペソのところで降ろしてもらうか、今すぐ降ろしてもらうかの選択を相手に委ねるしかない。

 

頭をポリポリするだけで、どうして良いか分からずキップ切りのお兄ちゃんが困っている様だったので、オレが金も持っていないクセにバスに乗ってしまった責任として、引導を渡してやろうと決意する。

荷物を持って立ち上がり、運転手に「ソーリー ワラン ペーラ アコ パーラン ポ(ごめんなさい。わたしお金無いです。降ろしてください)」と大きな声で伝える。

 

その時だった。

隣に乗っていたオバさんが、わたしの前に2,000ペソ出して、「彼の分もこれで払って」みたいなことを言ってる。

 

事態の収拾に困っていたキップ切りのお兄ちゃんは、その金に飛びついて、「オッケー マーム」とか言ってる。

 

わたしだけが、事態の飲み込みが遅い。

というか、何が起きたかは理解しているけど、降りようと腹をくくって立ち上がってしまったし、バス中に聞こえる声量で宣言してしまったし、どうするのが良いのか分からないでいる。

 

お金を他人に出してもらうのが申し訳ないし、カネが無い日本人なんて恥ずかしいから、さっさとバスを降りてしまいたい気分なのだ。

 

「だいじょうぶ、座りなさい」と優しく声をかけてくれる隣の席のご婦人。

 

言葉の問題じゃなく、日本語であったとしても、相手に何を言えば良いのか分からない。

どーでも良いことは、冗舌にいくらでも話せるクセに、こういう肝心な時にフリーズしてしまう情けないオレ。

 

「ありがとうございます」とありきたりな言葉以外に、何も言葉が出てこない。

 

気持ちというか、頭の整理が追いつかず、もし可能ならキップ切りのお兄ちゃんには、隣のご婦人にお金を返して頂いて、バスを降ろしてもらいたいと、この後に及んでもそう思っている。

 

数十秒か数分なのか時間の感覚が無くなるくらいに、頭の中でいろんなことを考えた後、眠りから覚めた後みたいに、ハッと気づく。

「あの、すいません

と言って500ペソをご婦人に渡す。

 

「いいのよ」みたいな感じで、お金を受け取ろうとしないご婦人。

 

ダメです。ダメです。

と言いながら、ご婦人のバッグに500ペソをねじ込むわたし。

 

「すいません。

それと、出してもらった分のお金を返したいので、連絡先を教えてもらう事はできませんか?」

とお願いしてみるわたし。

 

ダバオに到着したからといって、カネがあるわけじゃ無いし、だいたいダバオで会う人が本当に待っているのかだって分からない。

もし、ダバオで会う予定の人がいなかったり、連絡取れなくなったとしても、むしろ当然と言えば当然の結果。

例え、これが日本で日本人同士であったとしても、出会い系で知り合った人が遠くから来るなんて、気持ち悪くてバックれて当然だ。

だから、ご婦人にカネを返すとかの前に、バスを降りて以降、自分がどうなるかの保証も無く旅していて、わたしはそれをオモシロがっているだけ。

そんな誰かに理解されない、わたしだけの個人的なおもしろさの為に、ご婦人にお金を負担させることは、心苦しくてならない。

だから、返せるアテなんて無いけど、返せるカネを作ったら、返せるように連絡先を聞きたかった。

 

「わたしは、あなたに連絡先を教えたくありません」

とハッキリと断られる。

バス賃も持っていない外国人に連絡先を教えるのが気持ち悪いと思われたか、勝手にやったことだから気にしなくて良いという意味合いなのか、それともその両方なのかは分からない。

 

でも、カネを払わせた挙句に、気分を害する真似までするわけにはいかないので、食い下がることもできない。

 

ご婦人は優しく話しかけてくれる。

「フィリピン人はね、困った人がいたら助けてあげるの。

だから、気にしなくて良いのよ」

と言ってくれる。

 

格好いい格好良すぎて惚れてしまいそうだ

 

このご婦人の財布の中にいくら入っているのかは知らない。

もしかしたら、この後に使う予定のあったお金かもしれない。

そうで無かったとしても、大変な思いをして作ったお金かもしれない。

 

そう、いつだって、フィリピン人は気前が良いし格好をつける。

困った人を助けたいとか、頼られたら助けたいという気持ちがすごく強い。

そういう性格を利用して、ひたすら頼るだけの人、助けてもらうだけの人もいる。

そんなの分かっていたって、カネを作れるヤツはカネを作り、皆にカネをばら撒く。

 

オレに、隣のご婦人と同じことができるのだろうか?

例え、財布の中に1,000ペソが10枚あっても、例え100枚入っていたとしても傍観者だったと思う。

なぜなら、わたしは日本人だから

 

カネが無いならバスから降りて歩けば良いと思う。

それは自分に対しても、他人に対しても。

お金をあげて助けてあげようという発想は生まれない。

なぜなら、わたしは日本人だから

 

自分が助けてもらったから強く思うけど、今回の件がある前から思っていた。

見返りなしで人を助けてあげるの見て、格好いいなぁって。

思っているけど、自分がと考えたら、行動にうつすことはできない。

なぜなら、わたしは日本人だから。

これからも、きっとフィリピン人の様にはなれない。

三つ子の魂百までは真実だ。

 

何が、良いとか、悪いとか、そういう事じゃない。

わたしは、フィリピン人のそういうところが、格好いいと思ってしまう。

わたしには無い能力で、これからも得られない能力で、自分が持っていない能力を魅力的と思う様に、人は作られているのだと思う。

 

わたしはフィリピン人の格好良さに痺れたのと、バスの中でカネ無い宣言して恥ずかしいのと、などなどの複雑な心境で涙をポロポロと垂らしてしまった。

 

隣のご婦人は、わたしのバス代の不足分239ペソを支払ったことで、外国人は涙を流して喜んでいると思ったことだろう。

 

フィリピン人には、永遠に理解されないかもしれないが、日本人は正当な報酬として得たカネ以外に喜びを感じる事はない。

情けなさや、恥ずかしさや、蔑まされた感に対して、涙を流しているわけだけども、例え隣のご婦人が喜びのあまり日本人が涙を流していたと感じても、そう思ってもらって構わない。

それは見ず知らずの人に、バス代239ペソを支払ってあげた者としての、当然の権利である。

 

逆にわたしは、バス代239ペソ不足分を支払えなかったペナルティとして、目的地に到着するまで、辱しめを受けなければならない。

フィリピン人同士で話す会話が聞こえる度に、自分のことを話されている気がする。

隣のご婦人に何か気の利いたことを言ったり、やったりしてあげたいけど、何も浮かばないし、何もできない。

息苦しい車内での滞在を余儀なくされる。

 

739ペソなんて高い料金を請求するだけあって、それなりに距離があるのだろう。

13:30に乗ったバスだが、17時になっても、18時になっても、なかなか到着しない。

 

もし、バスを降りて歩いていたら、どうなっていたのだろう。

3時間歩いても、わたしの足では10キロ程度しか進まない。

寝ずに歩いても23日かかったかもしれない。

そんな途方もなく長い距離をバスで走った。

 

そして、ついに目的地に到着する時がやってきた。

時間は20時をまわっていた。

13:30から出発して、6時間半のバスを経て、ついにダバオシティに到着する。

 

バスを降りてフラフラする。

長距離移動の疲れもあるだろうけど、それ以上に239ペソのバス代が足りなかったことで、精神的苦痛を味わい、気疲れしてしまったからなのだろう。

 

そのまま歩道にしゃがみこみ、タバコに火をつけ休憩する。

 

その時だった。

oi(オイ)と声をかけられる。

 

ギクッ またも、やっちまったかと体育座りしている股の間で、コッソリとタバコを消し、寝たフリをしてみる。

寝たフリというのも強引なのだけど、もうどうして良いか分からなかった。

 

ガシっと肩を掴まれたので、観念して恐る恐る顔をあげてみると、そこには出会い系のオバさんがいた。

 

わたし「ハロー クムスタ」

 

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