サバイバルダンス! 奇跡を起こして海を渡る!

わたしの頭の中で、妖怪ババーに言われた「100パーセント、ダバオに行けない」が思い返される。

飛行機やバスなど全ての手段が閉ざされ、ならば1,500kmの超ロングホールをアイアンで刻むごとく、進めるところまで進み、あとは現地で対処するという作戦も、失敗に終わるのか。

f:id:thirdseason:20190518222935j:plain



わたしはルソン島の最南端にあるマトノグ港で、完全なる足止めを食らっていた。

連れもいない身1つなので、どうにでもなるとタカをくくっていたけど、無知だからこそ無茶が出来ても、無茶の限界もここまでなのかと思われた。

f:id:thirdseason:20190518223132j:plain



だけども、こういう場面での潔さは持ち合わせていない。

正攻法がダメなら、何か裏技は無いかと考える。

船なんて乗船するまでが問題だから、なんとか潜り込む方法があるんじゃないかと。

 

人混みに紛れて、ササッと紛れ込んで船に乗り込んでしまうとか

うーん、意外にフィリピン人は、無駄な正義感を持っている奴がいるから、取っ捕まると厄介だな。

 

バスの下に張り付いて、船に乗船しちゃうとか

ジャッキーチェンの映画の見過ぎだな。

そもそも、そんな体力無いし、スーツケースどうするんだ? ってなる。

 

チケット売り場の近くのチンピラが言ってた。

500ペソ払えば、チケット取ってやると

裏技を使えば乗れるのは間違いない。

でも、500ペソなんて裏金を払う資金力は持ち合わせていない。

 

協力者を見つけようと考え、港周辺の飲食店を見てまわる。

 

ここはガキが店番やっているな

 

ここはおじいちゃん

 

うん? おじいちゃん?

港近くで長く店を営んでいるなら、それなりに人間関係があるだろう。

とりあえず、おじいちゃんの店でハロハロを注文する。

 

なんだけど、ハロハロが通じない。

もしかしたら、私の発音がLRが反対になっていて通じないのだろうか

 

見かねた隣の店のオンナが「ハロハロだってよ!」と、おじいちゃんに大きな声で教えてあげている。

 

ダメだ

オレの発音の問題があるかもしれないけど、それ以上におじいちゃんモウロクし過ぎている。

こんなのアテにならない。

 

声を張り上げ協力してくれたオンナと話してみようかと様子を伺うも、ゴツいダンナがいて、クソ暑い中でも関係なく、ジャレたネコの様にアマイ アマイ コミュニケーションに酔いしれている。

 

時間の無駄にしかならないので、これっぽっちも美味しくないハロハロを半分残し、次の店を探す。

作戦としては、1軒・1軒の店の前をチンタラと歩き「アンタ日本人?」みたいな形で、声をかけてもらうのがベスト。

なんだけど、外国人のわたしと、誰も目さえ合わせようとしない。

目が合ったと思っても、ソッコーで目線を外され、仕事しているフリをされてしまう。

 

次に入った店は、わたしより少し年上、50手前くらいのオバさんがやっている食堂。

ここも目も合わせてくれないけど、とりあえずロイヤルを注文。

 

ここで飲んでも良いか? と聞く。

いいよと返事が来る。

 

タバコ吸って平気か? と聞く。

大丈夫だと返事が返ってくる。

 

タガログ語上手だねぇアンタ ナニジン?」

と、ついに向こうから質問が来る。

 

せっかく相手からボールを投げてくれたのだから、キャッチボールが続くようにしないと!

「日本人だよ。目が無いでしょう?」

と返事をする。

 

オバさんは笑いながら

「無いんじゃなくて、小さいだけでしょ!」

と突っ込んでくれた。

 

このオバさんのツッコミは、わたしが言わせた言葉ではあるのだけど、ノリが悪い人はフッと笑ったフリをして、会話を終了させてしまう。

 

すかさず、わたしは相手に喋らせるために質問をする。

「日本にフィリピンの人、たくさんいるよ。お姉さんも日本行った事ある?」

返事など聞かなくても無いのは知っている。

行ったことがある人は、自分の知っている日本の情報をこれでもかとぶつけてくるからだ。

それでも、あえて共通の話題が作れるネタを振る。

 

「わたしは行った事ないけど、親戚で日本で結婚して暮らしている人がいるよ」

キタ!コレ! 親戚の多いフィリピン人は、親戚の誰かが日本に行ったことがあったり、結婚していたりする率が非常に高い。

 

わたし「フィリピン人は優しい人が多いから、日本人に人気あるんだよ。

日本人のオンナもピノイと結婚してる人、いっぱいいるしね!」

まず、フィリピン人は優しい人が多いという言いまわしにしたのは、フィリピン人は優しいと断定的な言い方をすると、悪い人もいるから気をつけなさいという話しに絶対なるからだ。

それと、スケベジジーがピナイに騙されて結婚しているというイメージがわかない様に、日本人のオンナもという話しを付け足す。

実際には、ピノイと付き合っている日本人のオンナを知らないので、ピノイと日本人女のカップルが多く存在するかなんて分からない。

ただ、フィリピン人は優しいという事を印象づけ、遠回しにわたしを助けてくれる様に仕向けたかったわけだ。

そのために、飲みたくもないロイヤルをわたしは飲んでいる。

 

わたし「さっき、チケット売り場に3時間並んでいたんだけど、買えないし、疲れてアタマが痛くなっちゃった」

とメインの話しを切り出す。

 

オバさんは、フェリーに乗るバス会社が乗船するチケットを買い占めているから、普通の乗客には、なかなかチケットが回ってこない。

などと、他で聞かされたのと同じ話しをすると、夜に売るであろう料理の仕込みを始めてしまった。

 

オバさんは忙しそうに仕事を始めだしたし、ロイヤルも飲みきってしまったし、寝床があるわけでも無いし、途方もなくチケット売り場でチケットが取れる時まで並ぶしかないかなぁと諦めた時だった。

 

店に顔馴染みぽい雰囲気で入ってくる客がいた。

オバさんは、その男の肩にヒジを乗せ、この外国人は日本人なんだけど、1人で旅行してて、船のチケットが取れなくて可愛そうだから、どうにかしてあげれないか? と言ってくれている。

 

男はわたしに名前を書けとメモの切れ端を出して、わたしがそこに名前を書くと、ちょっと待ってろと言い残し、すぐに店を出てしまった。

 

ポカンとしていたわたしに、オバさんが説明をしてくれる。

男は、オバさんの甥っ子で、レイテでバンの運転手を仕切る仕事をしているのだそうだ。

その関係でなのか、船の事務所にも顔がきくらしく、バスの乗員名簿にわたしの名前を追加できる様にチャレンジしてくれるとか。

 

数分後に男は帰ってきた。

わたしに船のチケットをくれる。

わたしはチケット代金120ペソを男に支払う。

 

17時に出発する船だと言う。

時計を見ると16:50だ。

港のタックス30ペソを別に払う様に言われ、急いでスーツケースを転がして船に向かう。

 

定刻から5分遅れで船は出発した。

この船はいったい、どこに行く船なのだろう?

だけども、わたしはバスの乗客ということになっているので、自分がどこに向かうバスに乗っているのか、知らないのもオカシイ話しなので、船員にどこ行きの船なのかを聞くこともできない。

まぁいい。

奇跡が起きた。

というか、起こした。

 

わたしは取れないチケットを裏金無しの裏技で手に入れ、ついにルソン島を飛び出した。

この、カネでは決して買えない経験が刺激的すぎて、貧乏であることに恐怖を覚えるどころか、ワクワク感を感じる様になってしまったのも、わたしが貧乏なままの理由でもあるのだろう。

こうして少年は大人になっていくんだなと、シミジミ感じた45歳だ。

overseas.blogmura.com

https://overseas.blogmura.com/philippine/ranking.html?p_cid=10996612

 

 

ところで、わたしは1日うんこをしていない。

必ず朝に用を足す体質になっているのだけど、連日の長時間バス移動で、身体のリズムがおかしくなったからなのか、経費削減でロクにメシを食っていないからなのか、珍しく夕方までうんこをせずに過ごしてしまった。

すかさず、船にあるトイレをチェックしてまわる。

f:id:thirdseason:20190518223743j:plain



船の便器は、座るタイプの便器になっておらず、床がくり抜かれたタイプの、いわゆる和式タイプで金隠しの部分がついていない。

フィリピン人が、そのタイプの便器では用を足せないからなのか、恐ろしい状態になっているトイレが無い。

 

ただ、船が右に左にと、大きく揺れる。

昔、小学生の低学年だった頃、地震の揺れを体験できる車というのが学校に来て、グラグラ揺れる部屋の中でテーブルの下に潜り込むという体験をしたのを思い出す。

それの、うんこバージョンか

 

とりあえず、出すものを出す。

ここまでは問題ない。

ただ、和式トイレのタイプで、ケツを水で流しながら洗うのが初体験だ。

フィリピンという環境に合わせたわけでは無いのだが、フィリピン人と同様に、わたしも腹が出ているので、和式トイレで用を足すと、お相撲さんが見張って・見張ってとやっている感じになる。

加えて、胴が長くて、リーチが短い。

そんな中で、かなりゆっくりとは言え、大きな横揺れがある。

地に足をつけたまま、四股を踏んでいる気分だ。

着ているものは濡れない様に全部を脱いで用を足しているのだけど、さほど汚くないとは言え、靴を脱ぐ事だけはできなかった。

あまり、ビシャビシャにしてしまうと、うんこ水で濡れた靴を履き続けなくではいけなくなってしまう。

また、左右に大きく揺れている中で、ちょうど水平のラインにきているタイミングで、ケツに水をかけないとならない。

傾いている時に水をかけてしまっては、太ももをつたって、靴まで水が流れ込むのが容易に想像できるからだ。

 

四苦八苦しながらも、ケツを水で洗い流している時に、ふと気づく。

なんか水からニオイがする?

恐る恐るニオイを嗅いでみると、それは海のニオイ。

タンクに出しっ放しで出ている水の正体は海水であった。

それに気づいてしまったからなのか、どうも肛門様がヒリヒリする感覚がある。

 

ノドが痛い時には、塩水でウガイをすると良いとは聞いたことがあるけど、海水には大腸菌が大量にいるとも聞いたことがある。

大腸に大腸菌が入ると、どうなるのだろうか? などと考えながら、海水でケツを洗い流す。

なんだか、海水特有のベタベタする感覚があるのだけど、汚水にまみれた地獄の様なトイレで用を足すよりも、よっぽど良いので仕方ない。

 

そんなことをしている間に、夕焼けで陰影のある芸術的な美しさの島が見えてきた。

Samar島だ。

島に到着したのは19:20

あたりは、すっかり暗くなっている。

どうやら、わたしはAllen(アレン)という港に流れ着いたらしい。

 

わたしが次に目指すのは、レイテ島のTACLOBAN(タクロバン)という町。

アレンという港から、直で1番遠くまで行ける町がタクロバンという町だったからだ。

f:id:thirdseason:20190518224025j:plain


実は、クバオを出て以降、ほとんど情報収集をせすに動いた。

それは、どこかに宿泊しているわけでは無かったので、スマホの充電が少なくなっていたからでもある。

すごい田舎の道や海の上では、圏外となっている場合も多く、繋がっても3Gでは、大した情報も得られないのに、スマホの充電だけは順調に減ってしまう。

もし、どうしてもスマホを使わなければいけない時に、充電が無くなっていたら、大きな問題を抱える事になってしまう。

それと、充電がゼロになってしまったら、大きな不安を抱えてしまいそうなので、電源を切ったままにしておいた方が、むしろ安心なのだ。

だから、次にどこへ向かうべきかは、わたしが最終的にダバオに向かいたい旨を伝えた上で、複数の人に聞く。

町の名前を言われても、初めて聞く名前だと忘れてしまうし、上手に発音出来ないので、スペルを聞いて確認するようにしていた。

 

そうして、目標地となったタクロバンは、レイテという島にある町らしい。

でも、わたしが船で上陸したのはサマール島

この島と島の間が、いったいどうなっているのかは謎だ。

地図で見る限りだと地続きになっているのだけど、それならば島の名前が違う理由が分からない。

イメージすると橋がかかっているのかもしれないけど、そのあたりが良く分からないまま、タクロバンに到着した。

 

タクロバンに到着したのは午前2時。

真夜中だったので、サマール島とレイテ島の境目がどうなっているのかが見えないのはモチロン、サマール島の景色はまさに闇の中だった。

 

タクロバンだと言ってバンを降ろされた場所は、小さなロビンソンデパートの前にあるバスターミナル。

時間帯も関係あるのか分からないが、数分おきにバスが入ってくる割に、降りる人がいても乗る人は存在しない。

もし、ダバオ行きのバスがあったら乗せてもらえるか交渉してみようと、しばらく眺めていたのだが、どれも反対方向のルソン島方面に行くバスばかりだった。

 

バスが駐車するスペースと、チケットを売る建物を挟む形で反対側にバン乗り場がある。

そこでミンダナオ島のスリガオ港へ行ける船が出てる町に行きたいと交渉するも、タクロバンから直で出ているバンは無いと言われる。

 

とりあえずSOGOに行けと言われる。

SOGO ホテルSOGO

たしかに長距離移動が続いて、異常に疲れてはいるけども、残念ながらホテルで休むカネなど無い。

ロクにメシも食っていないので、さっさと目的地に到着しないと、飢え死にしてしまう。

確認すると、ホテルSOGOでは無いようだ。

SAGODという名前の町があり、そこから港に行くバンが出ているのだと言う。

バンに乗り込むと、すでに先客がギッチリと詰まっていた。

深夜3時にSAGODに向けタクロバンを出発。

 

5時にSAGODに到着。

そこから、レイテ島の最南端にあるSAN RICARDOという町を目指すのだそうだ。

f:id:thirdseason:20190518224210j:plain


さて、ここで恒例の? 活動報告。

54日(土) 22:00 家を出発

5日(日) 0:00 インファンタからバスが出発。

5日(日) 4:30 オルティガスに到着

5日(日) 5:50 バクララン到着

5日(日) 9:00 ねもとトラベル

5日(日) 12:00 クバオ到着

5日(日) 20:30 クバオからバスが出発

6日(月) 9:00 レガスピに到着

6日(月) 10:00 レガスピからバスが出発

6日(月) 13:30 マトノグ港に到着

ーーーここまでが前回のブログーーー

ーーーここから今回のブログーーー

6日(月) 17:00 マトノグ港を出発

6日(月) 19:20 アレン港に到着

6日(月) 20:00 バンでアレンを出発。

7日(火)  2:00 タクロバンに到着。

7日(火) 3:00 バンでタクロバンを出発。

7日(火) 5:00 サゴに到着

7日(火) 5:30 バンでサゴを出発

 

お金

5 0:00 バス 245ペソ

5 5:30 MRT 15ペソ

5 9:30 LRT1 20ペソ LRT2 20ペソ

5 20:30 バス 1,250ペソ

6 バス160ペソ トライ200ペソ

小計 1,910ペソ

残り手持ち金 1,800ペソ

ーーーここまでが前回のブログーーー

ーーーここから今回のブログーーー

6 17 120ペソ ターミナルフィー30ペソ

6 20 バン 500ペソ

7 3 バン 200ペソ

7 5 バン 150ペソ

小計 1,000ペソ

合計 2,910ペソ

残り手持ち金 910ペソ

 

レイテ島最南端の港、目的地サンリカルドに到着したのは午前7:30

上の活動報告を見ても分かる通り、すでにフィリピンにおける最高額紙幣である1,000ペソ冊を持っていない。

6日にクチにしたのは、ハロハロとロイヤルだけ。

これらは小銭(コイン)で支払いしていて、小銭入れの中の金額まで把握していなかったので、手持ち金は約をつけて表示している。

 

満身創痍、横になって休むことも無く、飲まず食わずのわたしが、1,000ペソも持たずにミンダナオ島に渡り、無事にダバオまで到着することができるのか?

そして、まだ1度も出会った事の無い、出会い系サイトのオバさんは、本当にスッポかずに待っているのか?

 

いよいよ次回の号では、インファンタから1,700キロ、3,000ペソ(実際には4,000ペソちょっと欠けるくらい)の旅が完結するぞ!

overseas.blogmura.com

フィリピン情報 人気ブログランキング - 海外生活ブログ